日本で暮らすブラジル人たちの素顔に迫る映像ドキュメンタリー・シリーズ「O Outro Lado do Mundo・軌跡 ~在日ブラジル人の25年~」第四話「ボランティア」公開
2015年 11月 20日日本各地でさまざまな生活を営むブラジル人の姿を追った映像ドキュメンタリー・シリーズ「O Outro Lado do Mundo・軌跡 ~在日ブラジル人の25年~」(全11話、日本語字幕つき)の第四話「ボランティア」が公開された。
今回登場するのは、在日ブラジル人を含む、日本で暮らす外国人の生活の中に飛び込み、彼らをサポートする社会活動に心身を砕く3組の女性活動家だ。
最初に登場するのは大阪市堺市の田中ルジアさん(写真上)。通訳ボランティアとしてコミュニティの子どもたちをサポートしている。活動を始めるようになったのは、日本の学校教育に関わる問題で、ルジアさん自身が身につまされる問題に直面したことも理由のひとつだった...。
2人目は、東日本大震災及び東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故により甚大な被害を受けた福島県南相馬市でボランティア活動を行う阿波根アデライデ・ヌネス・レイスさん。
支援物資を届けるだけでなく、本当に必要とされているのは何か、自分にできることは何かを考え行動するアデライデさんが見つけた道とは...。日本語は6つの言葉しか話せなくても、アデライデさんが南相馬市の人々と心を通わせられるのはなぜか!?
3人目は、神奈川県横浜市鶴見区で非営利団体ABC Japanで理事長を務める安富祖美智江さん。理事長といっても、率先して自ら活動する“現場の人”だ。
日本に来たばかりで日本語ができない外国人の青少年が日本の学校に馴染めるように、日本語や様々な教科を教える教室を運営したり、神奈川県を中心に日本で暮らす外国人の支援活動を日々行いながら、震災や洪水など災害が起こるたびに助けが必要な人たちがあれば、速攻で、動く。
2008年のリーマンショックを受けて2009年以降多くのブラジル人が職を失ったとき、ABC Japanは他の多くの団体や企業と協力し合い、「雇用」と「教育」のチャンスを訴えるデモを実施。日本で働くブラジル人労働者たちが、単に職を求めて日本に出稼ぎに来ただけではない人も多く、90年代初頭の好景気の時代に労働力不足を補うために迎えられた人たちでもあることや、その後の日本の産業の発展を彼らが支え、貢献してきた現実などを日本社会に改めて知らしめた。
美智江さんの、小さなひとつひとつの力を結びつけて大きな力にする行動力、SNSなどをのネットワークを駆使して迅速に事を起こす機動力は、どこからくるのか...。
今回登場する3組の活動家に共通しているのは、根本から問題改善しようと取り組み、尽力している点だ。「手を差し伸べる」のではなく「共に手を取り合う」活動を続けている彼女たちだからこそ、問題の本質は何なのか、彼らが生きていく上で何が大切なのかを見定めるこができるのではなかろうか。
異文化の共生という問題に限った話ではなく、ボランティアとは何かを考えるうえでも多くのことを示唆してくれるストーリーだ。
https://www.youtube.com/watch?v=j7IxPhTBAks
「O Outro Lado do Mundo・軌跡 ~在日ブラジル人の25年~」は全11エピソード。続きのエピソードも「アウテルナチーヴァ・オンライン(Alternativa Online)」で公開される。
(文/麻生雅人、写真上から1番目~3番目/reprodução/「O Outro Lado do Mundo・軌跡 ~在日ブラジル人の25年~」、写真(2009年の抗議デモ)/麻生雅人)