ブラジルの国家輸出振興計画(PNE)とは

2016年 01月 6日

パラナグア港

今日ブラジルは世界第7位の経済規模を有しているが、輸出に関しては25位にとどまり、世界の全輸出量の1.2%を占めるに過ぎない。この数字はブラジルの潜在的可能性からほど遠いものである。

ブラジル政府は、停滞する経済状況からの脱出並びに新経済班の財政再建策の導入による公共投資縮小などの停滞ムードを一新し、海外市場へ向かうための自由化政策をより強化するため、2015年6月24日に、ブラジルに存在する企業に対する支援を主な目的とした国家輸出振興計画(PNE)を発表した。

当計画は次の5つの支柱から成る。

1. 市場アクセス : 市場の拡大、貿易障壁の撤廃および関税項目と非関税項目に関する二国間、地域内および多国間の貿易協定へのより広範な参加に焦点を当てた政策の立案。

2. 貿易拡大 : ブラジル製品に対する 32 の優先的市場のマッピングによる、製品の需要と供給を踏まえた市場を特定。これら市場は、世界の全GDPの74%、世界の全人口の 60%、世界の全輸入の 62%、世界の全輸出の 63% を占める。今後4年間のビジネスチャンスが 5,920 億米ドルに達すると予想される巨大な領域である。これらのビジネスチャンスは、食品、飲料、住居、建設、機械、器具、モード、化粧品、各種サービス等、ブラジル経済の多様な分野を網羅している。管轄官庁が進めるすべての活動は、当市場の開放、強化、維持および回復に焦点を当てたものとなる。

3. 貿易促進 : コストダウンと納期短縮を目的とした、行政手続きと税関手続きの非官僚化、簡素化、合理化および改善。

4. 輸出に対する融資と保証 : 既存の輸出に対する融資制度の改善による、輸出に対する融資を必要とする企業の支援。

5. 輸出促進のための税制の改善 : 政府は、Drawback(税還付。 予定のもしくはすでに実施された輸出に対する見返りとしての課税停止または免税)、RECOF(特定産業向け保税倉庫に関する特別関税制度)といった輸出に関連する特別制度の簡素化を進める。輸出業者は、製品輸出時に特別制度の下で輸入したすべての資財に関わる連邦税を免除され、また当制度の下で取得し現地販売用の製品に使用した資財に関わる租税の納付に際し法定賦課金の適用を免除される。

ブラジルの企業は、単に輸出を一時的な販売チャンスとしてではなく事業戦略として見ている。つまり、国家が望み必
要としていることは、貿易収支の黒字をより安定的に確保し、新規投資を取り込み、単なる製品の輸出国ではなく、国内で製造した製品を介してのテクノロジーの輸出国となることである。

以上、PNE をその背景も含め理解する事が進出企業にとっても税務も含めた成功への重要な視点となるのがお分かりい
ただけるだろう。

(文/エドアルド・ヴィトール、フェルナンド・マグリ、記事提供/ブラジル特報(日本ブラジル中央協会)、写真/Fabio Scremin/APPA)
写真は代表的な輸出港のひとつパラナ州のパラナグア港

ブラジル特報 2016年1月号

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