ブラジル、1月のインフレは2003年以来最悪に

2016年 02月 13日

フェイジョン

オリンピックイヤーを迎えてからも景気浮揚感が感じられないブラジルから、経済の腰の重さを裏付けるニュースが聞こえてきた。

TVグローボが2月5日、番組「ジョルナウ・ナシオナウ」で伝えたところによると、1月のインフレ率はこの13年で最も高かったという。

政府の公式発表によると、1月のインフレ率は+1.27%。物価上昇の7割を占めているのがバス運賃と食品の値上がりだ。食品の値上がりは2015年第4四半期の穀倉地帯における天候不順、自然災害によるもので、特にブラジル人の主食となっている米と豆の価格高騰を引き起こしている。

米と煮豆はブラジル人の食卓に欠かせない。スーパーの買い物客たちは、急激な主食の価格上昇に困惑を隠せない様子で語る。

「今日は豆を買いませんでした。だって、高すぎるんですもの」

「豆の値段は以前は1キロ2.7-3レアル(約80-90円)だったのに、今は5-6レアル(約150-180円)も払わなくてはなりません」

豆と米の値段が高騰している一番の理由は10月以降、南部で大雨による水害が起こったことだとグローボは報じている。南部は豆と米の一大産地で、ここでの不作は市場全体に大きな影響を及ぼす。

「在庫不足によって値段が上がっています。4月、つまり次の収穫期まではこの状態が続くものと思われます」(ブラジル豆生産者協会長、マルセロ・ルーデル氏)

食料供給公社はこの穀物不足への対応として、米と豆の大量輸入を発表した。昨年1年間の輸入高は50万トンだったが、今回は100万トンの輸入を見込んでいる。ただ、輸入の場合、代金決済をドルで行うため、このドル高の状況では供給を増やしても価格は下がりにくいと見られている。

「確かに輸入は必要なのですが、レアル安で輸入品原価は高い状態です。原価が高い以上、スーパーなどでは小売価格に転嫁せざるを得ないと思われます」(ジェトゥーリオ・ヴァルガス財団経済研究所エコノミスト、アンドレ・ブラース氏)

豆の価格は昨年だけですでに30%、米は10%値上がりしている。物価高に直面する高齢者は言う。

「もう75年も米と豆を毎日食べてきているのに、これからどうすればいいのかしら?」

(文/余田庸子、写真/Marcelo Camargo/ABr)
写真はフェイジョン(インゲン豆)や米の売り場