日本とブラジルの食肉貿易事情

2016年 03月 4日

すき家 サンパウロ店

2015年の日本の輸入(速報値)をみると、牛肉はオーストラリアと米国の上位2カ国で92%に達してる。豚肉は米国、カナダ、デンマークの上位3カ国からの輸入が全体の68%になる。

世界で高い輸出シェアを持つブラジルの牛肉と豚肉が日本でほとんど輸入されていないのは、ブラジル国内での口蹄疫の発生を理由として、サンタカタリーナ州産の豚肉を例外として、日本が生鮮肉の輸入を禁止しているためである。

牛肉に関しては、過去にBSE 感染牛の存在が確認されたため、2012年12月から加熱処理した肉も禁止していたが 2015年12月に解禁している。

ただし、牛丼チェーン店の「すき家」を展開しているゼンショーホールディングスが米国産牛肉をブラジルJBSの子会社である米国スイフト社から購入しているように、「ブラジル産の牛肉」ではないものの、実質的には「ブラジル資本の牛肉会社」から輸入されている例がある。

JBS もこの点は割り切っていて、日本にはブラジルから直接輸出できなくても、米国やオーストラリアの子会社から輸出できれば良いと考えているようだ。

これに対して、ブラジルの鶏肉は日本の輸入量 53 万トンうち41万トンを占め、シェアが1位(77%)と日本市場において存在感を発揮している(次ページへつづく)。

(文/清水純一、記事提供/ブラジル特報(日本ブラジル中央協会)、写真/麻生雅人)
牛丼チェーンのすき家(ゼンショー)はブラジルにも進出している。写真はサンパウロ店