ブラジル人のスキンシップ事情

2016年 04月 2日

アブラッソ

それまでは、女性と抱擁するときに胸に触れないようにと思って、ふわっとした抱擁を心がけていたのですが、彼女は「ふわっ」ではなく「ギュッ」と抱擁してきました。

その時に感じたのは、無条件で受け入れられていて、存在を肯定されているという安心感であり、助平な感情が首をもたげることはありませんでした。

人間は、時々「ギュッ」と抱きしめられる必要があるのではないか、とその時にフト思いました。日本に暮らしていると、あまり抱擁したりされたりする機会がないので、それが「女性の肌に触れたい」という渇望を生み出し、その結果「痴漢」などの犯罪が起こってしまうのではないかと思います。

ボノボは、争いを暴力ではなく、性で解決するということで有名で、雌が抱き合って、互いの性器をこすり付けあう「ホカホカ」と呼ばれるコミュニケーションをテレビで見たことがあります。

ボノボのように「ホカホカ」をするまで行かなくとも、日本人も争いを減らすためにはもっとスキンシップを取っていくとよいのではないかと思います。

(文/唐木真吾、写真/Gabeira 43/Flickr)

著者紹介

唐木真吾 Shingo Karaki

唐木真吾 Shingo Karaki
1982年長野県生まれ。東京在住。2005年に早稲田大学商学部を卒業後、監査法人に就職。2012年に食品会社に転職し、ブラジルに5年8カ月間駐在。2018年2月に日本へ帰国。ブログ「ブラジル余話(http://tabatashingo.com/top/)」では、日本人の少ないブラジル北東部のさらに内陸部(ペルナンブーコ州ペトロリーナ)から見たブラジルを紹介している。
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