景気低迷の長期化でブラジルの社会階層の構成に変動
2016年 06月 2日プラード氏いわく、社会階層の変動は正規雇用されている人たちにより大きな影響が出ているのだという。
「なぜなら貧困層は非正規雇用で生計を立てることに慣れており、家で内職をしながら化粧品を売るなど、収入を複数の先から得て生計を立てています。一方、中流階級は正規の雇用先からの収入に頼っていて、他の収入源を持てないのです」(プラード氏)
調査会社協会による調査が示す社会階層ごとの結果は、国民生活の実態を調べるために2015年から今年の始めにかけて家庭を訪問して行われた調査会社のうち主要な会社が出したデータをまとめたものだ。財産の保有状況やその他の項目を調べることで固定運用収入も含めた収入を見積もる、ブラジルスタンダードという尺度を使ってまとめられている。
ビジネス法務工学研究所公共政策センターのコーディネーター、ナエルシオ・メネーゼス・フィーリョ氏は多くの家庭が財産を切り崩しながら生活をしていると指摘する。そのため、社会階層を下げているのだという。
「これは予想されていたことですが、経済危機はそれほどに厳しいのです」(メネーゼス・フィーリョ氏)
同氏はブラジル地理統計院(IBGE)からはそのような傾向を示す数値は出ていないという。
テンデンシアス総合コンサルティングの経営者、アドリアーノ・ピトーリ氏は調査会社協会よりも悲観的なシナリオを描いている(次ページへつづく)。
(文/余田庸子、写真/Marcelo Camargo/Agência Brasil)
写真は2015年9月8日、サンパウロ市旧市街区(セントロ)にあるプレステスマイアビル。多くの不法居住者が暮らしている