景気低迷の長期化でブラジルの社会階層の構成に変動
2016年 06月 2日ピトーリ氏は労働者が仕事の対価として受け取る金銭的収入にのみ着目して社会階層ピラミッドにおける階層間の変動を調査している。他の機関のように資産運用から入る固定収入を考慮していないのだ。
2015年に行われた調査でテンデンシア社のエコノミストは、今後の予測として2015年から2017年の間に3百万世帯が所属する社会階層を下げることになると指摘している。
昨年来の深刻化する経済危機を考慮し、ピトーリ氏は昨年の計算を見直し、420万世帯が社会階層を下げるとの予測を出した。この1年だけでも180万世帯が階層を下げるだろうとみている。
ピトーリ氏は自身の調査で適用した基準と調査会社協会の基準は異なると説明する。ピトーリ氏は金銭的収入だけを考慮しており、それによって家計が経済危機から受ける直接的・短期的な影響を示しているという。調査会社協会の基準では保有資産からの運用収益も含まれる。そのため経済危機の打撃が現れるまで時間がかかる。
「とはいえ、国民の生活はすでに打撃を受けています」(ピトーリ氏)
調査会社協会のピリ氏によればブラジルは20年前の水準に戻ったわけではないという。
「しかしながら選択を誤り続けると、20年前の水準に戻ることもあり得ます」(ピリ氏)
(文/余田庸子、写真/Marcelo Camargo/Agência Brasil)
建設途中で建設計画が中断されたウニオンビル(サンパウロ市サロン通り)は80年代から不法居住者が住んでいる。2015年の時点で72家族が居住