鳥や動物、盗賊まで…北東部名物の陶芸人形がずらり。伊勢丹新宿店「ブラジルウイーク~フェイラ・コロリーダ」
2016年 06月 5日北東部名物の粘土を使った陶芸人形は、ブラジルを代表するアルテザナート(民藝アート)のひとつ。代表的な作家としてはペルナンブッコ州カルアルー市で活動したメストリ・ヴィタリーノことヴィタリーノ・ペレイラ・ドス・サントス(1909-1963)がよく知られている。
これらの粘土人形は、現在はマラニョン州で盛んな伝統芸能ブンバ・メウ・ボイなどの祭りの情景、セルタォンとよばれる半乾燥地帯の人々の暮らし(結婚や、干ばつにより土地を捨てて移住する家族など)、はたまた日常的な人々の暮らし(電話工事から医師まで)など、北東部の人々の生活が題材になっていることが多い。
1947年。リオデジャネイロで開催された「第一回ペルナンブッコ州陶芸展」でヴィタリーノの作品が紹介されたとき、まだ映像メディアが発達していなかった時代に、南東部の人々は彼の人形を通して北東部の人々の暮らしを知ったという。
ヴィタリーノをはじめ北東部の人々の手によって、自分たちの身近な出来事を題材に作られていた粘土人形は、今では一種のナイーヴアートとして、ブラジル北東部特有の文化を伝える民藝品として、広く世界中で評価されている。
メストリ・ヴィタリーノの生家のあったカルアルー市郊外にあるアウト・ダ・モウラは粘土人形や木彫り細工などのアルテザナートの里となっており、ヴィタリーノの子孫を含む多くの作家たちのアトリエが並んでいる。ヴィタリーノの生家はミュージアムになっている。
「ブラジルウイーク」では、アウト・ダ・モウラや、同州の他地区で活動する作家たちのアルテザナートも紹介している(次ページへつづく)。
(写真・文/麻生雅人)