ブラジル代表のドゥンガ監督解任。チチ新代表監督とは

2016年 06月 17日

チチ 新監督 祈り 信仰

ブラジルサッカーを本当に変えるためには、セレソンの監督を思い切って外国人にできればと常々思っていた。2014年W杯の惨敗後にはあの名将、グラディオーラの名前まで出ていたが、そこまでのレベルではないにしろ、ある程度、外部の血を入れたほうがよいと思っていた。しかし、ちょうどブラジル国内に、これだけの実績者がいたので、次期監督に打ってつけだと思われても仕方がない。

チチのサッカーは、どちらかといえば守備を重視し、いわゆる伝統的なブラジルサッカーとは違うので、今のブラジル代表監督には適任なのかもしれない。

まずは、どんなメンバーを選ぶのか、そしてどんなサッカーをするのか見守っていきたい。何しろ、2018年W杯ロシア大会の予選では、出場圏内どころかプレーオフ圏内からも外れているのだから…。今は、チチを全力で応援したい。そして、地に落ちてしまったブラジルサッカーを復興させてもらいたい、と思う。

なみにドゥンガはオリンピック代表監監督も兼ねていたが、リオデジャネイロオリンピックではチチは指揮を執らないようだ。現U20監督でU23の代表コーチも兼任しているロジェリオ・ミカーレがそのままU23、すなわちオリンピック代表の監督も務めるようだ。

コーチからそのまま昇格なのでそれほど問題ないのかもしれないのだが、今回のリオ五輪のブラジル代表は特別な状況になる。ネイマールが入るのだ。

監督としてネイマールを使いこなすのは、本当に大変なことだ。以前、はるか昔の2010年のことだが、所属していたサントスではネイマールと監督が激突し、監督が解任された事件が起きている。まあ、ネイマールも成長し、あの頃とは違うと思うので、そんなことはないとは思うが、監督としては相当に気をつかうはずだ。ドゥンガほど、よいか悪いかは別として自分の信念を曲げないような監督なら、指揮を執れると思うが、ロジェリオ・ミカーレはどうなのだろうか。

ネイマールを召集することが吉と出るか凶と出るか。本当にそんなことを感じずにはいられない。

リオ五輪まで、あと1ヵ月半しかない。

世界的にみればサッカーなど一競技でしかないと思うが、いくら国民から見放されているとはいえ、自国開催のオリンピックでブラジル国民がもっとも注目する競技は何といってもサッカーだろう。

恥ずかしくない試合を見せてほしい。ブラジルサッカーファンとしては、そう願うだけである。

(文/コウトク、写真/Daniel Augusto Jr./Ag. Corinthians)
写真は4月27日。ブラジルの守護聖人である聖母アパレシーダに祈りをささげるコリンチャンスのチチ監督。信仰深いチチ監督は試合前、控室などで必ず聖母アパレシーダに祈りをささげたという

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著者紹介

コウトク

2005年6月~2012年6月まで仕事の関係で、ブラジルに在住。ブラジル在住当時は、サッカー観戦に興じる。サントス戦については、生観戦、TV観戦問わずほぼ全試合を見ていた。
2007年5月のサンパウロ選手権と2010年8月のブラジル杯のサントス優勝の瞬間をスタジアムで体感。また、2011年6月のリベルタドーレス杯制覇時は、スタジアム近くのBarで、大勢のサンチスタと共にTV観戦し、優勝の喜びを味わった。

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