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シェアードオフィスならぬシェアードスクール!?不況下のブラジルで新業態

シェアードスクール ブラジル

英語学校の生徒、ジュリアさん(9歳)は英語を習うことが生活の中に取り込めるようになったという。小学校の授業が終わったらほんの数歩で英語学校にたどり着けるのだ。

「家を出て、(小学校の)授業を全部受け終わって、そのあとここで英語を習うの。ベリーグッド!」(ジュリアさん)

生徒の親も自分の子どもを英語を習わせる場所に移動をさせる必要がないため、時間が節約できる。

「英語学校が普通の学校と同じ場所にあるのは、送り迎えをする私たちにとっても非常にメリットがあります。送り迎えが1往復で済むのです。朝学校に連れて行って、英語が終わる時間に迎えに来ればいいのですから」(ジュリアさんの父、ドグラスさん)

ブラジルの大都市圏は人口の割に公共交通機関が少ない。そのため移動は基本的に自家用車だ。また、治安の問題もあるので子どもが一人で街を歩くこともまずない。子どもが移動するときは常に保護者がついていなくてはならないという、働く親にとっては厳しい事情がある。

そういった、働く親たちにとっても小学校の空き教室を使った英語のシェアードスクールはとてもありがたい存在だ。

また、低コスト経営は顧客へのサービス対価にも反映される。月謝は他行に比べ安く設定でき、それがまた顧客を呼ぶ。

「我々は平均して10~15%の利益率を保っています。これはこの業界ではとても競争力があるという指標になります」(マウリシオさん)

FIAP技術大学教授のマルコス・クリヴェラーロさんによると、このようなシェアードビジネスはあらゆる分野に広がりつつあるという。

「美容院、ネイルサロン、カフェなどが一緒になったり、軽食堂がスペースを一部貸し出していることもあります。自動車点検所では、車の点検をしている間に音響設備や、洗車、エアコンの掃除なども一緒にできます。点検所に車を持ってくるだけで後は全部1か所で終わるのです」(マルコスさん)

美容院や車両点検所はまだしも、小学校が民間企業の営業に場所を貸すという状況は日本ではなかなか想像しがたいが、ブラジル人の「とりあえずやってみる精神」が切り開いた業態と言えそうだ。続けられるものは定番化させ、ダメそうなら他の道を探る、というブラジル人の試行錯誤好きな国民性が垣間見られる。

不況のコスト削減圧力、交通渋滞、物価上昇に伴う共働き夫婦の増加など、さまざまな制約の中で生まれてきた創意工夫の数々。この政治のドタバタによってしぼんでしまわないことを祈るばかりだ。

(文/原田 侑、写真/Reprodução/「Pequenas Empresas & Grandes Negócios」/TV Globo)
写真はブラジルの「Pingu’s English」。TVグローボ「ペケーナス・エンプレーザス・イ・グランヂス・ネゴーシオス」より。TVグローボ系列の番組はIPCTV(グローボ・インターナショナル)で放送中。視聴の問い合わせは、080-3510-0676 日本語対応ダイヤルまで

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