ブラジルでも、オフィスにゲーミフィケーションを取り入れる企業が増加
2017年 06月 3日ブラジル人はいつ何時も楽しむことに積極的だ。楽しみを無限に広げてくれるIT・通信技術に対しても、関心は高い。
ブラジルでのスマホの活用状況は、アプリのダウンロード数、1日のアプリ利用数とも世界トップクラスだ。FacebookやInstagramなどの投稿も盛んだが、SNSでネットゲームへの招待が頻繁に送られてくる。
そのブラジルで、仕事にもネットゲーム感覚を取り入れて業績を上げる企業が増えてきているという。
TVグローボが5月21日、経済情報番組「ペケーナス・エンプレーザス・イ・グランヂス・ネゴーシオス」で伝えたところによると、ブラジルでゲーム化(ゲーミフィケーション)を取り入れる企業に対し、企業内「ゲーム」を構築するベンチャー企業が現われたという。
起業家のフーベンス・サムエウ・ヂ・メロさんは、企業がゲーム理論を取り入れ始めた傾向をブラジルでいち早く事業化。企業内で従業員のパフォーマンスを測り、業績向上を促進するソフトウェアを開発する会社「ゲーミフィッキ」を立ち上げた。
「2014年、シリコンバレーに行きましたが、そこはゲーミフィケーションを実際のビジネス現場に適用する動きが始まった場所で、私が行ったときはすでに世界中でその傾向が広がり始めていました。シリコンバレーから戻って1年半を経て、今、製品化が終わり、これからブラジルの企業に広く紹介していくところです」(フーベンスさん)
フーベンスさんは「ゲーミフィッキ」に50万レアル(約1900万円)を投資し、ゲームのプラットフォームを構築した。プラットフォームは従業員の業績向上に連動するよう設計され、より楽しめるようランキング形式も取り入れた。
フーベンスさんは顧客数や受注数、売上金額、当期純利益などの情報に基づいて納品先の会社ごとに異なる仕様で開発をしている。
サンパウロ市内で家具店を営むマメヂ・シャインさんは、バーチャルゲーム形式で従業員の販売成績を伸ばしている。導入して3月足らずで、販売見込み額が18%も上昇した。
ジェトゥーリオ・ヴァルガス財団のコンサルタント、ジゼリ・ガリレアさんは企業内ゲーミフィケーションもまさにゲームの理論とリソースを活用したもので、巷のゲームと何ら変わりはないという。
重要なのは従業員のモチベーションとエンゲージメントを高めることで、ゲームを取り入れることでその度合いが高まるという。
企業に納品されたゲームは従業員教育にも重要な役割を果たす。自分専用のページには上司・同僚・顧客からのアドバイスや業績向上のために受けるとよい研修の情報など、個々の従業員の成長にとって重要な提案の機能も組み込まれている。
またリアルタイムでスマホやPCでランキングを見ることができ、月末には上位の従業員は表彰を受ける。この仕組みで従業員の間により健全な競争環境が生まれるのだという。
フーベンスさんのシステムは導入費別で従業員1人あたり約100レアル(約3800円)で、どのような会社であっても導入は可能だとのことだ。
コンサルタントのジゼリさんは、導入によって売上が40%も伸びた企業もあり、回収期間はほとんど気にならないレベルだという。
企業が個々の社員の業績をスプレッドシートで管理する時代はもう終わり、多くの企業が社員同士の競争を促進し、目標を達成し、目標を上回る業績を残させるための投資を始めている。
仕事に遊びを持ち込まないと仕事をしないのか、と嘆かれる方もいるかもしれない。とはいえ現代は従業員の1分1秒の使い方が企業業績を左右する時代だ。従業員が仕事に対してモチベーションを上げるのを待っているだけでは時間効率でかなり不利になる。
仕事を面白いと思えないのは努力が足りないから、面白いと思えるまで繰り返せ、と言っていられた日々は、もはや懐かしむべき贅沢な時代なのかもしれない。
Gamific(ゲーミフィック)
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(文/原田 侑、写真/Reprodução/「Pequenas Empresas & Grandes Negócios」/TV Globo)
写真は。ゲーミフィケーションを導入したサンパウロの企業。TVグローボ「ペケーナス・エンプレーザス・イ・グランヂス・ネゴーシオス」より。TVグローボ系列の番組はIPCTV(グローボ・インターナショナル)で放送中。視聴の問い合わせは、080-3510-0676 日本語対応ダイヤルまで