UEFAチャンピオンズリーグ決勝に見るブラジル人選手の活躍
2017年 06月 4日毎年楽しみにしている試合の一つが、UEFAチャンピオンズリーグの決勝である。
2017年は、6月3日(土)20時45分(日本時間4日(日)早朝3時45分)からウェールズのカーディフで行われた。
今年の対戦カードは、昨年の覇者で今季のスペインリーグ王者でもあるレアル・マドリッドとイタリア・セリエA王者のユベントスとなった。スペインとイタリアの絶対的王者同士の対戦となり、かなり楽しみな好カードである。
そんな両チームだが、ブラジル人選手も2人ずつ先発し、4人それぞれがいい動きを見せてくれた。
レアル・マドリッドでは、左SBマルセロとボランチのカゼミーロ、そして、ユベントスでは、長年バルセロナで活躍した右SBのダニエウ・アウヴェスと左SBのアレックス・サンドロだ。
マルセロはフルミネンセ、ダニエウ・アウヴェスはバイーア出身だが、2人ともスペインリーグがとても長いので、ブラジルリーグで活躍していた時代を知らないが、カゼミーロとアレックス・サンドロはブラジルリーグでもよく見ていた。
カゼミーロはサンパウロ、アレックス・サンドロはサントスで主力として活躍していた。
2人ともネイマールと同世代で、特にアレックス・サンドロは、ネイマールが活躍していたサントスで同時代を駆け抜けていたので筆者にとっても思い入れが強い。今回、惜しくも出場機会がなかったレアル・マドリッドのダニーロも、アレックス・サンドロ同様にサントスで同時代に活躍していたので、ぜひピッチに立ってほしかったが、最近はほとんど出場機会を得られていないようだ。
攻撃のレアル、守備のユベントスとよく言われるが、試合の立ち上がりは、ユベントスの猛攻が目立った。
目覚める前のディフェンディングチャンピオンを前に、鮮やかに攻撃を仕掛けていた。
左SBのアレックス・サンドロが、予想以上に目立っていた。左サイドで攻撃の基点となっていたのだ。
しかし、そんなユベントスの猛攻も実らず、レアルが一瞬の隙をつき、前半26分にクリスチアーノ・ロナウドがゴールを決めた。それまでほとんどボールを触れていなかったが、決めるときに決めるのだ。さすが千両役者だ。
しかし、その数分後に、ユベントスは、アレックス・サンドロが基点となり、中央へ折り返したボールをFWイグアインが繋ぎ、クロアチア代表のFWマンジュキッチが美しいオーバーヘッドキックでゴールを決めたのだった。これで試合はおもしろくなったと思った。
ブラジル代表では両サイドバックの2人、マルセロとダニエウ・アウヴェスのマッチアップは見ごたえ十分だった。ダニエウ・アウヴェスは昨年まで長年バルセロナで活躍していたが、移籍先のユベントスでもバルセロナ時代と同様に、十分に魅せてくれていた。
この2人、攻撃重視のプレースタイルもよく似ており、2人ともそれぞれのチームのキープレーヤーとして攻撃の基点になっており、意地と意地のぶつかり合いといった感じだった。
前半は1-1で折り返した。しかし、後半は完全にレアルのゲームになってしまった。
口火を切ったのは、ブラジル人ボランチのカゼミーロだ。後半16分、ほぼ正面から放ったミドルシュートが決まったのだ。
その直後には、クリスチアーノ・ロナウドが試合を決定付けるような追加点を決め、完全にレアルのペースになってしまった。
ユベントスの監督アレッグリの采配もはまらず、終了間際に途中出場のスペイン人の若きFWアセンシオにも決められ、4-1でレアルが2連覇を達成したのだった。
サントスで活躍したアレックス・サンドロが主力として出場していたので、どちらかと言うとユベントスを応援しながら見ており、特に前半がよかっただけに、この試合結果にはちょっと残念に思ったりした。しかし、レアルには底力の違いを見せつけられたので、この結果には納得だった。そして、この世界最高峰の舞台で、ブラジル人選手たちの活躍を見ることができたことは、本当に嬉しかった。
(文/コウトク、写真/Rafael Ribeiro/CBF)
写真はカゼミーロ。カゼミーロは2014年、ブラジル代表として対オーストリア戦(11月)に参加した