ブラジルにもフィンテック投資の波が到来

2017年 10月 31日

フィンテック ブラジル

今年6月以降、ブラジル株式市場は活況を呈しており、サンパウロ証券取引所の株価指数、ボベスパ指数は6月以降、約25%上昇している。

活況を支えているのは海外勢だけでなく、ここのところ増えてきているブラジルの個人投資マネーだ。

個人投資家の強い味方になりそうなアプリが海外フィンテック投資ファンドから注目を浴びているという。

グローボ系ニュースサイト「G1」が伝えたところによると、ブラジルの金融ITベンチャー、ギアボウソは同日、スウェーデンのフィンテック専門ファンド、ヴォストック・エマージング・ファイナンスを通じて1億2500万レアル(約43億7500万円)の調達を発表したという。

ギアボウソはスマートフォン用の個人向け資金管理・資金調達アプリ開発を行っており、現在350万人が同社のアプリにユーザー登録している。アプリは無料でダウンロードでき、個人の収支を記録しながら、設定した貯蓄目標の達成状況をリアルタイムで表示できる。万一借り入れが必要な場合は、ギアボウソと提携している中からより低い金利を提示する金融会社を選び、調達ができる。

同社広報によると、今回調達した資金の使途は現在提供中の融資プラットフォーム「ジャスト・オンライン」の機能追加開発と、クレジットカードに似たサービスの機能と株式投資機能の開発に使用するとのことだ。

「私どもの目標は、ギアボウソを個人のお客様の金融取引のハブとして使っていただくことです。ギアボウソは資金計画、借入、投資などすべての金融取引を1か所で行えるプラットフォームとなることをめざします」(ギアボウソ創業者、ベンジャミン・グリーゾン氏)

ギアボウソにとって5回目の資金調達となる当取引はエンデヴァー・カタリスト、リビット・キャピタル、世界銀行系列のインターナショナル・ファイナンス・コーポレーション(以下「IFC)」)などが中心になってまとめたものだ。

ギアボウソは2012年に設立され、主要株主にリビット・キャピタル、カスゼック・ベンチャーズ、QEDインベスターズ、オミダイア・ネットワーク、IFCの名前が挙がってる。この4社からの出資金9000万レアル(約31億5000万円)以外にすでに機関投資家から融資業務向けに2億2000万レアル(約77億円)を調達している。

ギアボウソのウェブサイトには収支と借入利息のコントロールによって夢を実現させたユーザーの体験談が寄せられている。支出を管理するのが苦手なため貯蓄率が低かったり、クレジットカードや銀行の高金利の一時貸付機能をに使っているブラジル人は多いが、一方で将来の夢を語らせると、熱っぽく、延々と語り続ける人も多い。

ギアボウソの金融プラットフォーム機能は、夢を現実に引き寄せるツールとして今後も活躍の場を広げていきそうだ。

(文/原田 侑、写真/divulgação)
写真はギアボウソのアプリケーション