ルーラ元大統領、収賄や資金洗浄などの罪で遂に収監

2018年 04月 8日

ルーラ 元大統領 逮捕

収賄などの罪で禁錮12年1カ月の判決を受けているルイス・イナーシオ・ルーラ・ダ・シウヴァ元大統領が、4月7日(土)18時47分、パラナ州連邦警察に出頭して収監された。現地メディア「G1」などが伝えている。

今年(2018年)の1月24日(水)にパラナ州の第4地区連邦地域裁判所第8号法廷によって禁固刑が言い渡された後、元大統領は身柄を拘束しないように申し立てを行っていたが、4月5日(木)、セルジオ・モーロ連邦地裁判事はルーラ元大統領に対し、サンパウロ州グアルジャーの高級三層住宅に関する収賄とマネーロンダリングの罪で逮捕命令を下した。

元大統領は逮捕命令により6日(金)17時までにクリチーバ市にあるパラナ州連邦警察に出頭しなければならなかったが、逮捕令が出てから2日にわたり、サンパウロ市にあるABC金属労組本部に滞在していた。サンパウロの連邦警察に身柄を預けた後、ヘリコプターでコンゴーニャス空港に移送され、同空港からパラナ州に運ばれた。パラナ州のアフォンソ・ペナ空港に着いたのは10時1分で、そのままパラナ州連邦警察に連行された。

ルーラ逮捕 抗議デモ

現在、ブラジルはテメル大統領の政権により歳出削減や労働法の改正など構造改革が進められており、インフレを抑制するなど財政の健全化を実現しつつあり、これを市場も評価して株価も上昇機運にある。ルーラ元大統領は今年の10月に行われる大統領選挙に出馬する見通しだったことから、ルーラ元大統領のポピュリズム志向の政策が現政権の構造改革を逆行させることが危惧されていた。

逮捕令が出される2日前の3日(火)には、ルーラ元大統領の収監を求める大規模なデモが国内の20の州、100以上の都市で行われていた。

(文/麻生雅人、写真上/Marcello Casal Jr/Agencia Brasil、写真下/Takashige Yamamoto)
写真上は4月7日、クリチーバ市に移送されるルーラ元大統領(左から3人目)。写真下は4月3日にサンパウロ市で行われたルーラ元大統領の収監を求めるデモ