ロシアW杯、ブラジルはベスト8で散る

2018年 07月 8日

ブラジル対ベルギー

ブラジル代表のW杯は終わった。

準々決勝でベルギー相手に勝つことができず、ロシアの地から去ることになった。

ブラジル対ベルギー戦が、7月7日(金)21:00(日本時間8日(土)早朝3:00)から行われた。

この日、筆者は仕事の関係で、秋田県内にいた。

ホテルにチェックインしてテレビをつけてみたのだが、この日試合中継をするTBS系列のチャンネルが見当たらない。なんと、TBS系は放映されていないエリアだったのだ。

これはある意味、相当な衝撃だった。日本が勝ち進んでいたら、秋田県の人は、日本代表の準々決勝の試合が見れなかったことになる。恐ろしい現実を知ってしまった。

この日の試合は、ブラジルにとって幸先の良くない幕開けとなった。

前半13分、ベルギーのCKから、この日出場停止のカゼミーロ(レアルマドリッド)に代わりスタメン起用されたフェルナンジーニョ(マンチェスターシティ)のオウンゴールでブラジルはリードを奪われた。

さらに、この嫌な展開に拍車がかかった。

前半31分、ブラジルのCKのチャンスから一転、ベルギー得意の超高速カウンターがはまった。

ルカク(マンチェスターユナイテッド)が持ち上がり、ボールを受けたデブライネ(マンチェスターシティ)が右45度の角度から鮮やかな超高速ミドルシュートを決めたのだ。

あっという間にブラジルは2点のビハインドを背負うことになった。

今のブラジル代表は守備の堅さが売りなので、ゴールを奪われることはほとんどない。チチが監督になってから、2点以上取られたことはないようだ。

にもかかわらずこの大事な試合で、いきなり2失点してしまったのだ。

メンタルの弱いブラジルがどう建て直してくるか。監督チチの腕の見せ所だ。

ワールドカップ2018

後半開始から、ウィリアン(チェルシー)に代えフィルミーノ(リバプール)を投入した。

ブラジルは1点取れれば落ち着きを取り戻し、状況は打開できるのではと期待したが、怒涛の攻撃を仕掛けるものの、どうしてもゴールが奪えない。

ルカクとミランダ(インテル)のマッチアップは相当に見ごたえがあった。ミランダもまったく引けを取らず、頑張って抑えていた。

ブラジルは、後半13分、ガブリエウ・ジェズースに代えて、ドゥグラス・コスタを投入した。

ジェズースを代えるのは早いと思ったが、ドゥグラス・コスタは切れ味鋭いドリブル突破を何度も見せてくれた。

だが、それでもブラジルはゴールを決めることができず、時間だけが刻々と過ぎていく。

後半27分には、パウリーニョ(バルセロナ)に代えてへナト・アウグスト(北京国安)を投入した。

この交代もどうかと思ったが、その直後の後半31分、コウチーニョ(バルセロナ)からボールをつなぎ、へナト・アウグストがヘッドでゴールを決めたのだ。

へナト・アウグストは本当にいい位置にいてくれて、よく決めてくれた。

チチ監督の采配も当たり、ブラジルは攻撃が仕掛けられているので、追いつく可能性は十分感じられた。それに今大会は、後半アディショナルタイムに決まるシーンも多いので、劇的な結末も十分にありえると思った。

しかし、そんな思いもむなしく、試合はそのまま終わった。

両チームの選手たちは健闘を称えあっていた。ネイマールもベルギー選手を称えていた。

ワールドカップ2018

ブラジルはベスト8で散った。4年前の雪辱を果たせず、ロシアの地を去ることになった。

まあ、仕方ないだろう。サッカーなんてこんなものだ。私の心も不思議と落ち着いていた。

サッカーには、運・不運というか、試合の流れというものが必ずある。どんなに強いチームでもそれを着実に捉えられないと勝てない。これは、サッカー以外にも多くのスポーツで同じことが言えるだろう。

今大会、前大会の雪辱を晴らすべく、チチ監督のもと、ブラジル代表選手たちは一体となり、最高の状態で大会に臨むことができた。その新たな戦いぶりに、優勝候補の筆頭にも挙げられ、世界中が注目した。

2002年日韓大会で優勝して以来、2006年以降は、前回のブラジル大会を除きすべてベスト8で敗退している。

ブラジル国民の期待を背負ったチチ率いる代表チームを持ってしても、勝ち上がることはできなかった。

セレソンの象徴、ネイマールは輝くことができなかった。W杯で優勝しないと神格化されることはない。ペレやマラドーナはそうであるが、メッシやネイマールはそうではない。

いや、現時点ではそうではない。セレソンの象徴ネイマール、そしてブラジル代表の戦いはまだまだ続くことになる。
これからさらに4年間戦い続けなければならない。4年後に結果を出すために。

今回ベスト4に入ったビッグネームは、フランスだけだ。

今大会では、新たな優勝国が現れる可能性は十分にある。それはそれで楽しみなことではある。

しかし、それと同時に、非常に残念なことではあるが、ヨーロッパの国しか残っていない、という現実がある。

世界のサッカーは完全に転換期を迎えているのではないだろうか。世界のサッカーは群雄割拠の時代に入ったように思う。

そんな中、ブラジル代表はどう進んでいくのだろうか。

ブラジル代表の新たな戦いが始まる。

(文/コウトク、写真/Carlos Bassan)

著者紹介

コウトク

2005年6月~2012年6月まで仕事の関係で、ブラジルに在住。ブラジル在住当時は、サッカー観戦に興じる。サントス戦については、生観戦、TV観戦問わずほぼ全試合を見ていた。
2007年5月のサンパウロ選手権と2010年8月のブラジル杯のサントス優勝の瞬間をスタジアムで体感。また、2011年6月のリベルタドーレス杯制覇時は、スタジアム近くのBarで、大勢のサンチスタと共にTV観戦し、優勝の喜びを味わった。

コラムの記事一覧へ