競泳金メダリストのマイケル・フェルプス、リオ五輪以降を語る

2019年 05月 24日

写真は2016年8月9日、リオデジャネイロ。オリンピックの競泳バタフライ200mで20個目の金メダルを獲得したマイケル・フェルプス選手(写真/Fernando Frazão/Agência Brasil)

2019年5月17日(金)、 グローバルな規模を持ち、世界中で展開している米国の 会社 Nielsenとシンガポールの格闘技団体ONE Championship によるカンファレンス「WHAT’S NEXT IN GLOBAL SPORTS」がシンガポールのマリーナベイ・サンズ エキスポ&コンベンションセンターにて開催された。

本カンファレンスには米国のオリンピックの金メダリスト、マイケル・フェルプス氏がゲストスピーカーとして登壇した。

フェルプス氏は2016年にブラジルのリオデジャネイロで開催されたオリンピックを最後に現役を引退した元競泳選手。オリンピックのメダルの通算獲得数は28個、金メダルの通算獲得数は23個で歴代1位の記録を持っている。

最後の舞台となったリオ五輪では6つの競技種目に出場して金メダル5個と銀メダル1個を獲得したことも記憶に新しい。

フェルプス氏が、カンファレンスの合間を縫って個別インタビューに応じてくれた。

5月17日、シンガポールで開催された カンファレンス「WHAT’S NEXT IN GLOBAL SPORTS」 会場でViviane記者のインタビューに答える マイケル・フェルプス 氏(左)(写真/Anh)

――現役時代にあなたが最も大切にしていたことは、何でしょう?

「わたしには多くのモチベーションと共に、たくさんの目標がありました。モチベーションを持たなくては競泳はできないので、できる限りモチベーションを保つようにしていました。一番になりたかったら一番クレイジーなトレーニングをしなくてなりません。わたしはそれが好きなんです」

――一番クレイジーなトレーニング方法を考えるのですね。

「新しい記録を出したいのなら、そこに辿り着くにはなにをすべきか考えなくてはなりません」

――引退してから、あなたが最も大切にしていることは、何でしょう?

「わたしは今はメンタルヘルスについて話すことに、たくさんの時間を使っています。メンタルヘルスの問題は、たくさんの人々の人生にとって避けることができない問題です。メンタルヘルスを通し、わたしは自分自身のことをたくさん発見し、ほかの人に直接オープンに伝えています。社会に向けても話をしています。メンタルヘルスというテーマについて話すのが、難しかったり話しにくい人もいると思いますが、わたしはオープンに話をするようにしています」

――メンタルヘルスをテーマにした社会事業活動ですね。

「わたしのような人間がメンタルヘルスについて話すのは、人のためになると思っています。ある日、心の調子が悪くても、それをオープンにすることで少し心が軽くなります。心がOKなコンディションでなくてもOKなのです。とても苦しんでいる人をメンタルヘルスによって、彼らの生活や命を救うことは、今までわたしがやってきたことのなかでも、ベストなことです。ようやく夢が実現しました」

――あなたがある目標を達成したあと、どのようにして気持ちを切り替えるか話していただけますでしょうか。

「わたしはある目標を達成したら、次の目標をたてます。常に自分自身に挑戦します。わたしは11歳のころから毎年、短期的な目標と長期的な目標をたてていました。とても具体的に数値も使い目標をたてました。わたしがいままでやってきたことは、誰もやったことのないことですが、どうやって実現できるかを考えると、それを達成するための道のりが思いつきます。そして目標を達成できると信じるのです」

――11歳の頃からずっと、そうしてきたのですね。

「この目標達成のコツはコーチが教えてくれました。わたしは今まで一人のコーチしか知らないので比較はできませんが、彼は本当に素晴らしいコーチでわたしは彼を信じていました。彼がいなかったら、わたしのキャリアは成功しなかったと思います」

――リラックスする時間は必要なかったのでしょうか。

「今までわたしは決して立ち止まらず、毎日を過ごしてきました。今は引退してたくさんの時間があるので、今までの人生を振り返り楽しんでいます。それまでは人生を楽しめてなかったかもしれませんが、苦しかったわけでもないです。良い経験を思い出しています」

――苦しい思い出はなかったのですか?

「2008年のシーズンは楽しかったですが、2012年のシーズンは苦しかったです。今までは目標と練習ばかりで、毎日のことを考える時間はありませんでした。今自分のキャリアを振り返ってもまだ消化はできていませんし、まだ全ては理解できていません」

――毎日の過ごし方が変わりましたね。

「今は新しい旅をしています。2人の子供もいますし、新しいストーリーと思い出もできるでしょう。人生はまだ続いているので、そうですね、まだ旅の途中です」

(文/Viviane Yoshimi)