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ファッション業界のセンスと、コンサル業のビジネスセンスを結集して生まれた、エレガントなカシャッサ「カンナ」

カシャッサ「カンナ」(写真/Bruno Machado e Juliana Rocha/Divulgação)

グローバル展開を念頭に置いて開発され、実際にアメリカ合衆国のスピリッツのコンテストで注目を集めているカシャッサ「カンナ」は、ファッション業界のセンスと、コンサル業のビジネスセンスを結集して生まれたカシャッサだった。現地メディア「Yahoo!ファイナンス」ブラジル版、「エザミ」が伝えている。

ギリェルミ・ジュンケイラとニック・ウォーカーは、単なるお酒好きが一晩で彼らの人生を変えてしまうとは考えてもいなかった。

2018年の時点で、ギリェルミは、ニューヨークで活躍するブラジル人モデル、マリ・ジウディセリが自身の名を冠して展開しているシューズブランド「マリ・ジウディセリ」で靴造りをしていた(日本でもBEAMSなどでおなじみのブランドだ)。ニックは、コンサルティング業に専念していた。

二人はブラジルでクラフトカシャッサを製造して、アメリカ合衆国で2020年に販売を開始した。カシャッサ「カンナ(Cãna)」は北米市場で成功を遂げ、2021年からブラジルでの販売もはじまっている。

ギリェルミとニックがカシャッサ事業に乗り出すきっかけとなったのは、ある日の夕食でのことだった。ブラジルの銘酒カシャッサをNYの人々にも紹介したいという話題で盛り上がった彼らは、早々、カシャッサを探したが、国際都市NYであっても、良質なカシャッサを見つけることはできなかったという。

その後、メスカルのブランドに投資した友人のアドバイスを受け、二人はカシャッサを自らプロデュースしてNYで販売することにした。

「私たちはそのアイディアに乗ることを決めて、お酒の蒸留の勉強を始めました。手づくりのクラフトカシャッサの作りてから、大規模なところまで、さまざまな蒸留所を巡った中で、ノヴァ・フリブルゴ市にある蒸留所“ファゼンダ・ソレダーヂ”にたどり着き、蒸留マイスターのヴィセンチ・バストス・ヒベイロ氏に出会ったのです」(ギリェルミ)

故郷ブラジルに向かったギリェルミは、国中に4万以上あるといわれる蒸留所の中から、ミナスジェライス州、リオデジャネイロ州、サンパウロ州の数十の蒸留所を訪問したという。

ファゼンダ・ソレダージは、リオ市北部ノヴァ・フリブルゴの、豊かな自然に恵まれた山麓地帯にある蒸留所だ。ここで造られるクラフト・カシャッサ「ファゼンダソレダージ」は国内外の品評会で数々のメダルを受賞しており、現在日本にも輸入されている。

「僕らと共に、ゼロから共に新しいカシャッサを開発しようと言ってくれたのはファゼンダ・ソレダージだけでした」(ギリェルミ)

この蒸留所で蒸留を監督するヴィセンチ・バストス・ヒベイロ氏は、国内外で高い人気を誇ったブランド「ネガ・フロー」を造った人でもある。

そのヴィセンチ氏の助けを得て、約8か月かけて、新しいカシャッサの開発が行われた。開発の過程では、ココナッツの皮を木炭にしたものをろ過に使ってみるなど、さまざまな試みが取り組まれた。

カシャッサのアルコール度数は40度前後だが、良いカシャッサはのどが灼けることなく、口当たりも滑らかだ。ギリェルミたちはまさに、のどが灼けないフレッシュな口当たりのカシャッサを目指した。

「エレガントな結果を得られるまで、30回以上はテストを行いました」(ギリェルミ)

彼らが自分たちのカシャッサで表現したかったのは、“ブラジルの多様性と優雅さ”だった。

そうして完成した「カンナ」は2019年12月に発売されるはずだったが、間もなくcovid-19のパンデミックに直面してリリース計画の変更を余儀なくされた。

しかし「カンナ」は、結果的に2020年にバーテンダー・スピリット・アワード、2021年にサンフランシスコ・スピリット・アワードで、共に金メダルを獲得したという。

「私たちのカシャッサの品質の決め手は、水です。この農場には3か所の綺麗な水源があります」(ギリェルミ)

味と品質に加え、カシャッサ「カンナ」は、ボトルのパッケージデザインでも現在の市場にマッチしている。ファッション業界で働いていたギリェルミの経験が生かされたボトルには、ブラジルのライフスタイルの美が表現されているという。瓶はフランスで製造され、ラベルはポルトガルで印刷されている。

現在、ブラジル国内ではリオの人気のバー「クアルチーニョ」(ボタフォーゴ)、ホテル「ジャネイロ」(レブロン)などにも置かれているほか、サイトでも購入することができる。

(文/カシャッサ麻生)

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