ボウソナーロ前大統領支持者の過激派が大統領府、最高裁判所などを襲撃
2023年 01月 9日
1月8日(日)、ボウソナーロ前大統領支持者の過激派がブラジルの連邦直轄区の官庁街に押し寄せ、三権広場の主要な官公庁を襲撃した。現地メディア「エスタダォン」、「ブラジル通信」などが伝えている。
「エスタダォン」によると、政権運営に混乱をもたらすことを目的に、行進は午後2時ころに始まったという。軍警察による防御を突破した集団は連邦議会を襲撃した後、大統領府と連邦最高裁判所を占拠したという。
窓ガラスを割り建物に侵入した集団は、施設内の事務所や芸術作品などを破壊した。
過激派による暴動は、軍警察、市警察、連邦警察、国家公安部隊、陸軍によって約三時間後には鎮圧された。鎮圧には唐辛子スプラ―や催涙弾なども使用された。
連邦政府社会広報庁のパウロ・ピメンタ長官は国民に対し、国内のテロに対し団結するよう呼びかけたことを同日「ブラジル通信」が伝えた。
ピメンタ長官は自身のツイッターを通じて、「本日(1月8日)のブラジリアでのテロ行為は、前政権の期間に植え付けられた憎悪の政策を反映しています」と発言したという。
また、民主的法治国家を守り事態を正常に戻すため、資金提供者や告知を行ったものも含む関係者を特定して責任を負わせることが必要だと述べたという。
「民主主義を遵守するすべてのブラジル人が、ボウソナリスタ(ボウソナーロ氏支持者)のテロリズムに対して団結する時です。国家に反逆するクーデターの一団による無秩序を終わらせましょう」ともツイッターに記されたという。
ピメンタ長官によると、ルーラ大統領が署名した法案で、連邦直轄区における公安の分野で連邦政府の介入が確立されたことを受け、「反民主的行為に参加したすべてのテロリストは、資金提供者を含めて特定され、責任を問われなければなりません」とも記したという。
また、ツイッターへの投稿だけでなくTiktokなどに、襲撃で破損した大統領府2階の様子を自らが案内する動画も公開した。映像には、倒されたキャビネット、破壊されたコンピュータやモニター、破損した幻術作品が映し出されている。
動画の中でピメンタ長官は「大統領府2階にある私の事務室に来ました。ご覧のとおりです、すべてが破壊されました。このいモニターを見てください。個々で行われたのは犯罪であり反乱です。芸術作品です。文化の破壊者たちがここで何をしたか、見てください。カオスです。破壊された芸術作品…国の(文化)遺産です。信じられないことが、ここ大統領府で起こりました。室内、設備、コンピュータの状態を見てください。この狼藉者たちは犯罪者として対処すべきです」と述べている。
(文/麻生雅人)