ブラジル銀行のタルシアナ・メデイロス頭取がCCBJアワード・パーソン・オブ・ザ・イヤーを受賞

2024年 09月 14日

1Tarciana Medeiros
CCBJアワード・パーソン・オブ・ザ・イヤーのトロフィーを手にするブラジル銀行のタルシアナ・メデイロス頭取(撮影/Alex Santos/Banco do Brasil)

毎年、ブラジルと日本の両国関係に功績のあった財界人に贈られるCCBJアワード・パーソン・オブ・ザ・イヤーの発表及び授賞式典が、8月22日(木)、コンラッド東京で行われた。

このアワードは在日ブラジル商工会議所(CCBJ)の会員の投票により選出されるもので、受賞者には、日本人移民造形作家、大竹富江のデザインによる記念トロフィーが贈呈される。

CCBJアワード・パーソン・オブ・ザ・イヤー2024には、ブラジル銀行のタルシアナ・メデイロス頭取が選出された。

2023年、ブラジルの中央銀行であるブラジル銀行の頭取に就任したタルシアナ・パウラ・ゴメス・メデイロス氏は、ブラジルで最古、ラテンアメリカで2番目に大きい銀行であり、214年の歴史を持つ同銀行にとって、初の女性頭取となった。

現在45歳となるタルシアナ・メデイロス氏は、パライーバ州カンピーナ・グランジ市の出身。10歳で故郷の市場で販売員として働き、その後、教職に就き、24年前にブラジル銀行に就職。エグゼクティブマネージャーなどさまざまな役職を歴任した。

同2023年、米「フォーブス」誌が毎年「世界で最も影響力のある女性100人」を選出する「The World’s 100 Most Powerful Women」に24位で選出された。公式サイトでは、トップページにて、ビヨンセと並びハイライト4名の内のひとりとして紹介されている。

同誌はタルシアナ氏の、気候変動対策において銀行が果たせる役割について語ったコメントを紹介している。

「私は、低炭素経済への移行において金融機関が極めて重要な役割を果たすと信じています。森林破壊に対抗するためにも、アマゾン地域の住民のために持続可能な経済活動のチャンスを創出しなければなりません」

CCBJアワード・パーソン・オブ・ザ・イヤーの受賞スピーチでも、タルシアナ氏はブラジル銀行による持続可能な経済活動を推進するためのアジェンダと取り組みについて述べた。

「現在、当社のクレジットポートフォリオの約3分の1はすでに持続可能なビジネスとなっており、グリーン・クレジットの総額は約3,600億レアルに上り、300万件を超える事業に割り当てられています。このうち60億レアル以上が再生可能エネルギー事業に割り当てられています。炭素クレジット市場における当行の取組みにより、荒廃した土地の回復に加えて、67万ヘクタールを超える森林の保全が可能になりました」

またタルシアナ氏は「重要なのは、この賞は私個人に与えられたものではなく、ブラジル銀行が日本で50年以上にわたり築いてきた関係性を象徴していることです」と語った。

「日本支社では、多くの世代の従業員が働いてきました。それは1972年から始まっており、パライバ州の内陸部で生まれた一人の少女が人生の道を切り開き始めるずっと前のことです」

「この少女、すなわち私はブラジルの北東部の貧しい地域で黒人の家庭に生まれ、7歳から露天商として働き始めましたが、勉強に専念することで、25年前にブラジル銀行に入行することができました」

「その後、国内外の様々な支社やリーダーシップの役職を経て、今では、80以上の企業を統括するグループを率い、12万5000人以上の従業員が95%のブラジルの市町村と11か国に広がる体制を築いています」

タルシアナ氏は、自身の人生とブラジル銀行の日本での存在は、性別、人種、出身地、経験の多様性を表してる点で共通していると述べた。

「今日、ブラジル銀行は日本で65以上の国籍を持つ顧客を抱えています。また、私たちの従業員も、さまざまな世代や国籍を代表しています。私たちは多様な言語を話し、金融ビジネスだけでなく、私たちの顧客の地域社会での関係にも多様性を活かしています。これが『ブラジル銀行(BB)のあり方』です。より多様で包括的で持続可能なグローバル社会の推進に貢献しています」

現在、ブラジル銀行は史上初めて、取締役会の女性が44.4%、黒人が22.2%を占め、LGBTQIAPN+グループのメンバーが2名含まれているという。

「このリーダーシップの配置により、多様性と持続可能性を戦略の中心に据える扉が開かれました。私たちのチームは、リーダーシップに自分自身が反映されていることに気づき、持続可能なビジネスを追求することが自然に理にかなっていると感じます」

(文/麻生雅人)