フェルナンダ・トーヘス、20歳でカンヌ国際映画祭女優賞を受賞
2025年 02月 24日
第97回アカデミー賞では、ヴァウテル・サリス(ウォルター・サレス)監督作品「アイム・スティル・ヒア」(日本公開8月予定)が作品賞、主演女優賞・国際長編映画賞の3部門にノミネートされている。
もし作品が受賞すれば、ブラジル映画がアカデミー賞の作品賞を受賞するのが初となるだけでなく、もし主演のフェルナンダ・トーヘス(フェルナンダ・トーレス)が受賞すれば、ブラジル人女優が同賞の主演女優賞を受賞するのも、初となる。
ブラジル人の女優がアカデミー賞の主演女優賞に初めてノミネートされたのは、1998年の第71回アカデミー賞。ノミネートされたのはフェルナンダ・トーヘスの母でもあるフェルナンダ・モンチネグロ。主演作品の監督は、「アイム・スティル・ヒア」のヴァウテル・サリスだった。
国民的ともいえる人気女優フェルナンダ・トーヘスのノミネートを受けて、ブラジル国内では連日のようにメディアでさまざまな話題が報じられている。
「G1」(2月21日づけ)は、フェルナンダ・トーヘスが国際的な賞で注目されるのは今回が初めてではなく、20歳のときにカンヌ国際映画祭でも女優賞に輝ていることを伝えている。
フェルナンダが受賞したのは1986年のカンヌ映画祭で、主演した作品はアルナウド・ジャボール監督作「エウ・セイ・キ・ヴォウ・チ・アマール(あなたを好きになるって、私は知っている):原題」。同年の女優賞は2名に送られており、もう一人は「ローザ・ルクセンブルク」(西ドイツ)のバルバラ・スコヴァだった。
ちなみに、カンヌ国際映画祭の女優賞をブラジル人が受賞したのはこの時のフェルナンダの受賞が初受賞で、その後もう一人、2008年にサンドラ・コルヴェローニが受賞している。サンドラ・コルヴェローニが出演した「リーニャ・ジ・パッシ」の監督もヴァウテル・サリス(ウォルター・サレス)だった(ダニエラ・トーマスと共同監督)。同映画は2008年に東京フィルメックスで上映され、ダニエラ・トーマス監督が来日して舞台でQ&Aに答えている。
しかし、当時テレノヴェラ(連続テレビドラマ)「セウヴァ・ジ・ペドラ」(リメイク版)に出演していた彼女は、授賞式には参加できなかった。
「G1」によると、1986年のカンヌ国際映画祭女優賞の受賞のニュースを最初に知ったのは、フェルナンダの当時の夫だった俳優のルイ・ファリアスだったという。この年フェルナンダは、ルイ・ファリアスが監督した『コン・リッセンサ、エウ・ヴォウ・ア・ルッタ(申し訳ないけれど、私は闘う)』にも主演している。
1986年当時フェルナンダ・トーヘスは「オ・グローボ」の取材に対し「私の最初のリアクションは、“驚き”だけでした。何度も自分向かって繰り返し言いました。“みんな、私、受賞したよ! 受賞したよ!”と。もしカンヌの授賞式に出席していて受賞の瞬間にその場にいたら、どうなっていたかわかりません。ブラジルにいたので、自分を抑えることができました(笑)。(受賞を)期待していなかったので、(その日は)誰にも会わないように決めて、1日休みを取って人生について考えていたんです」と答えていた。
カンヌ映画祭でのフェルナンダの受賞は彼女のキャリアを後押ししただけでなく、ブラジル映画の存在感を世界中で高めた。
2025年のアカデミー賞の最終投票は今週火曜日(2月18日)午後10時(ブラジリア時間)に終了しているという。アカデミー賞授賞式は2025年3月2日(現地時間)、ロサンゼルスで開催され、TV Globoで生中継される。日本では3月3日午前8時からNKH BSにて生中継される。
(文/麻生雅人)
・第97回アカデミー賞ノミネート作品「アイム・スティル・ヒア」のフェルナンダ・トーヘス、“夢はジェームズ・ボンド映画への出演”!?
・「アイム・スティル・ヒア」主演のフェルナンダ・トーヘス(フェルナンダ・トーレス)とは
・ゴールデングローブ賞2025、フェルナンダ・トーヘスがドラマ部門主演女優賞を受賞
・第97回アカデミー賞、ブラジル人が撮影監督を務める作品もノミネート
・ルーラ大統領は、起訴されたボウソナーロ前大統領らの推定無罪を強調