リオのサンビスタやサンバ団体、アルリンド・クルスへの追悼コメントを発表

2025年 08月 10日

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アルリンド・クルス(画像/Silvio Tanaka/Wikimedia Commons)

ブラジルのサンバ界は、8月8日(金)、2017年に脳卒中を患って以来健康状態が悪化していた音楽家アルリンド・クルスの死を悼んでいる。アルリンドは66歳で、700曲以上の作品を残すという偉大な遺産を築いた。

アルリンドの人生の重要な一章は、伝統あるカーニバル団体「カシーキ・ジ・ハモス」にも刻まれている。彼はこの団体のホーダ・ジ・サンバに参加し、ジャンルを代表する他の偉大な音楽家たちと共演してきた。

SNS上では、カシーキ・ジ・ハモスが追悼の声明を発表し、アルリンド・クルスの旅立ちを「深い敬意をもって記録した」と述べた。

「彼の歩みは、サンバの歴史と私たちの団体の記憶に刻まれています。唯一無二の才能を持つ作詞家・歌手として、私たちの歩みに欠かせない章を共に築いてくれました」

長年の盟友の一人であるゼカ・パゴジーニョもSNSで追悼の言葉を贈った。

「今日、私のかけがえのない仲間、パートナー、そして友人であるアルリンド・クルスがこの世を去った。神様が両腕を広げて迎えてくださいますように! 彼は多くの苦しみを味わった。今こそ少し休むべき時です! 神と共に旅立ってください、私のかけがえのない仲間!」

グループ「フンド・ジ・キンタウ」時代からの音楽仲間であるソンブリーニャとアルリンドは、アルバムや数々の楽曲を共に制作してきた。ソンブリーニャは、友と築いたこの歴史が“人生の宝物のような経験”だったと語った。

「今日…サンバは悲しみに沈む夕暮れを迎えた。僕は魂の友を失った。音楽の相棒を。数えきれない物語を共に紡いだ兄弟を。長年にわたる友情だった。サンバ界最大の詩人の一人が旅立った。ブラジル音楽の天才。音符を感情に変える、唯一無二の演奏家。彼の遺産は計り知れず…そして永遠だ。神がご家族、友人、そして彼と共に生きる特権を得たすべての人々を慰めてくださいますように。僕たちはこれからも…あなたのサンバを歌い続ける…永遠に、アルリンダォン。僕たちの絆は特別だった。そう、例に比べられるものなんてないよ」

サンビスタ、ベッチ・カルヴァーリョのSNS公式アカウントでも、アルリンド・クルスへの追悼メッセージが投稿された。メッセージはベッチの娘ルアーナ・カルヴァーリョのアカウントにも投稿された。

「今日旅立ったのは、ブラジルの心に形を与えたその手。私たちには、その歌をこれからも美しく響かせる使命が残された。でも今日はその日じゃない。今日は沈黙の日。完璧なサンビスタは、今、眠りについた」(ルアーナ・カルヴァーリョ)

新世代サンビスタのムムジーニョは、“音楽の父”とも呼ぶべき存在を失った悲しみを語った。

「今日、サンバが泣いている。そして僕の心も一緒に泣いている。師匠であり、友人であり、音楽と人生の“父”であるアルリンド・クルスを失った痛みを言葉にするのは難しい。彼は単なる偉大なアーティストではなかった。彼は“存在そのもの”だった。壁を打ち破り、僕に“好きなものを自由に歌うこと”、恐れずに挑戦することを教えてくれた」(ムムジーニョ)

リオのサンバ団体、インペリオ・セハーノもまたアルリンドのキャリアにおいて重要な役割を果たした。アルリンドは同団体のために、カーニバルのパレードのために12曲のサンバ・エンヘード(※カーニバルの行進のテーマ曲)を作曲している。2023年には、彼自身が行進のテーマとして取り上げられ、団体からオマージュを捧げられた。

「インペリオ・セハーノは、深い悲しみと痛みをもって、アルリンド・クルス(享年66)の訃報を悼みます。彼はサンバの歴史における最大級の存在であり、我らの“皇帝の冠”にふさわしい名誉ある存在でした」

団体はアルリンドの功績を次のように称えた。

「アルリンド・クルスは、インペリオ・セハーノの魂の一部です。天才的な作曲家であり、唯一無比の歌声を持つ歌手、そして心からのサンビスタとして、彼は我々の歴史に忘れがたいページを刻みました。偉大な仲間たちとともに、彼は数々の傑作を生み出し、今なおインペリオの心に響き続けています。中でも2006年の名作「聖なる帝国(O Império do Divino)」は忘れがたい一曲です。彼が手がけたサンバ・エンヘードは計12曲にのぼり、数々の賞を受賞しました」

アルリンド・クルスが愛したクラブ、クルビ・ジ・ヘガッタス・ド・フラメンゴも、彼の死を悼む声明を発表した。

「サンバのアイコンであり、マルチ奏者、天才的な作曲家、そしてブラジル文化の唯一無比の声を持つアルリンドは、常に誇りをもってフラメンゴの名を掲げ、世代を超えてその才能とフラメンゴへの情熱で人々を魅了してきました。ご遺族、ご友人、ファンの皆様、そしてサンバの国民すべてに心より哀悼の意を表します。彼の遺産は、スタンドの中に、サンバの輪の中に、そしてフラメンゴを愛する人々の心の中に、これからも生き続けるでしょう」

(記事提供/Agência Brasil、構成/麻生雅人)