ブラジルと南アフリカの共通点は、緑と黄色のユニフォームの色だけではない
2026年 06月 11日
南アフリカ代表は、木曜日(6月11日)に行われる2026FIFAワールドカップ開幕戦でメキシコと対戦し、W杯大会に初参加する。試合は16時から、カナダ、米国とともに大会を共催するメキシコの首都、メキシコシティで行われる。
ブラジル代表と同様、南アフリカ代表も緑と黄色のユニフォームを身にまとってピッチに立つ。しかし、両国の共通点はユニフォームにとどまらない。ブラジルと南アフリカは、社会経済的・政治的な特徴を共有しているほか、国際社会においても平和の追求など、立場が一致する場面が多い。
サッカーに関する面では、南アフリカ代表は元ブラジル代表監督のジョエウ・サンターナにとっても思い入れが深い。サンターナはAgência Brasilの取材に対し、10年の空白期間を経て「バファナ・バファナ」が技術的に向上したサッカーを見せていると語った。
「私たちブラジル人があちらへ行ってから、彼らのサッカーのレベルは徐々に上がってきた」と、2008年から2009年にかけて南アフリカ代表を率いたサンターナは話す。「私は大会の最後まで彼らに賭けるつもりだ」と締めくくった。
<ブラジルとの協力関係>
ピッチ外では、南アフリカはライバルではなくパートナーを求めていると、シリル・ラマポーザ大統領は強調する。今年3月、ブラジリアでルイス・イナシオ・ルラ・ダ・シルバ大統領と会談した際、ラマポーザ氏は、まずブラジルとの経済協力を起点に、ラテンアメリカとの関係拡大を期待していると述べた。
「(ブラジルと南アフリカは)もっと高いレベルで協力すべきだ」と当時語ったラマポーザ氏は、「私たちはそれぞれの大陸で最も工業化が進んだ国同士であり、両国間の貿易はもっと大きくなる必要がある」と指摘した。
南アフリカ側は、農業・畜産、エネルギー、鉱業、防衛といった分野での連携強化が不可欠だとみている。これに対しルラ大統領は、ブラジルと南アフリカの年間貿易額は約20年間ほぼ横ばいで、23億ドルにとどまっていると説明した。
「両国間の貿易が100億ドルに達しない理由は、政治的には何もない」とルラ氏は述べた。
現在、ブラジルは南アフリカに対し、主に鶏肉、砂糖、道路用車両を輸出しており、一方で南アフリカからは銀、プラチナなどの鉱物を輸入している。
3月には、航空路線の拡充や観光地の共同プロモーションを目的に、観光分野での協力強化に関する合意が結ばれた。その後、口蹄疫対策や動物衛生監視体制の改善を中心とした農畜産分野での技術協力も進められている。
<アパルトヘイトと中東情勢>
ブラジルへの国賓訪問の際、シリル・ラマポーザ大統領は、中東で続く戦争に対し平和的解決を求めるブラジルの国際的立場を支持する姿勢を示した。ラマポーザ大統領は、現在の攻撃行為は国連憲章に反し、死者と破壊をもたらしていると述べた。
専門家の見方によると、南アフリカのこうした立場には大きな重みがある。同国は50年にわたりアパルトヘイトと闘い、その後、内戦に陥ることなく体制を克服したという“道義的正当性”を持つためだ。
「南アフリカには道義的正当性があります。国内で極めて深刻な時代を経験し、それを内戦なしに乗り越えた国だからです」と語るのは、国立科学技術研究所(INCT)のウィリアン・ゴンサウヴェス上級研究員だ。
リオデジャネイロ州立大学の国際関係学の元教授であり、歴史的出来事の証人でもある同氏は、この“正当性”があるからこそ、南アフリカはガザやレバノンでのイスラエルの行動を厳しく批判できるのだと指摘する。「彼らは『これは戦争犯罪だ』『これはジェノサイドだ』と言えるのです」と語った。
アパルトヘイト終結から長い年月が経った2015年、南アフリカは国連が「国連被拘禁者処遇最低基準規則(ネルソン・マンデラ・ルールズ)」を採択する際にも重要な役割を果たした。アパルトヘイトと闘った末に投獄された同国の元大統領の名を冠したこの規則は、刑務所での拷問を禁じ、公正な裁判を受ける権利を保障するものだ。人権団体によれば、これはマンデラ氏が享受できなかった権利であり、現在イスラエルの刑務所に収容されている数百人のパレスチナ人も同様だという。
国連によると、パレスチナ人の子ども、女性、男性に対する拷問は体系的かつ広範に行われており、イスラエル国家の“教義”と化している。
1970年代、南アフリカが人種隔離政策の下にあった時代、ブラジルは同国に対し圧力をかけた国の一つだったと、ゴンサウヴェス氏は振り返る。
当時、ブラジルは国内の黒人運動の高まりと、石油供給停止をちらつかせたアフリカ諸国の連合の圧力を受け、プレトリア政権との外交・商業関係を凍結した。当時、南アフリカはブラジルにとってアフリカ最大の貿易相手国であり、ブラジルの石油生産量も現在よりはるかに少なかった。
<主権擁護の姿勢>
1990年代にネルソン・マンデラ氏の指導の下で民主政権へ移行して以降、南アフリカは国内総生産(GDP)の拡大、失業率とインフレ率の低下、教育・医療制度の改善など、さまざまな前向きな変化を遂げてきた。ただし、依然として格差は残っている。
南アフリカはアフリカ大陸最大の経済国であり、2000年代に入ってブラジルとの関係を再び強化した。両国の関心は短期的な経済利益にとどまらず、グローバル・サウスにおける開発のための同盟構築にも向けられている。
「ブラジルの開発経験と、不平等に立ち向かう国際的な姿勢は、同じ目標を持つパートナーを引きつける」と、ゴンサウヴェス氏は語る。
同氏によると、両国は複雑な課題を抱えながらも、開発に向けて努力を続けている。「困難を抱えつつも、両国は大きな前進を遂げてきた」と述べ、南アフリカがアフリカ大陸で唯一、商業規模で原子力発電を行うなど、核分野での自立も達成していると指摘した。
現在、ブラジルと南アフリカは、HIV/AIDS対策、貧困削減、反人種差別、持続可能な開発といった分野でも協力関係を築いている。
2025年11月にブラジルで開催された国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)では、南アフリカはブラジルが提案した「熱帯林基金」の創設を支持し、主権と国家の独立を守るという価値観を公に共有した。
ゴンサウヴェス氏の見立てでは、両国は民主主義の強化、経済成長、そして国際舞台での影響力拡大を目指しており、関係強化は双方にとって有益だという。
(記事提供/Agência Brasil、構成/麻生雅人)




