ベロオリゾンチ市で、流行りのフードトラックを中小零細企業支援機構(セブラエ)が支援
2015年 03月 16日ブラジルでも全国に流行が広がりつつあるフードトラック。大都市を中心に近年知名度があがってきた営業形態だが、フードトラック営業をサポートするインフラも徐々に整ってきている。
TVグローボが3月8日、番組「ペケーナス・エンプレーザス・イ・グランジス・ネゴーシオス」で伝えたところによると、ミナスジェライス州ベロオリゾンチ市の中小零細企業支援機構(SEBRAE、セブラエ)と同市産業支援機構(SESI、セシ)は共同でフードトラック営業支援プログラムを提供しているという。
元商店経営者のルシアーノ・ダ・シウヴァさんは支援プログラムに参加し、フードトラックによる路上営業を始めた。初期投資額は8万レアル(約340万円)で、資金は主に車両の購入・改造にあてたという。
「プログラムでのきめ細かい指導のおかげで高い家賃を払わなくても商売をやっていける確信が持てました。今、フードトラックは一つのムーブメントになっていて追い風になっていますしね」(ルシアーノ・ダ・シウヴァさん)
支援プログラムの担当者、アンドレリーナ・ファラチさん(セブラエ)は支援プログラムについてこう説明する。
「プログラムでは産業支援機構(セシ)の栄養士が栄養、調理法、調理過程での衛生管理、食材の保存方法など、路上営業に関する実務面での指導を行い、セブラエは利益を出すための仕入方法や資金管理方法など経営の部分で支援をします」
ルシアーノさんが路上営業を始めるにあたって、市からの営業許可と国家衛生監視局(ANVISA、アンヴィザ)の検査を受ける必要があった。それぞれをクリアして営業を開始したが今後も1年ごとに同様の手続きが必要となる。
ベロオリゾンチ市にはフードトラック営業に特化した法令はないが、バーやレストランから50メートル内の場所でフードトラック営業はできない、としている。また他都市と異なり、フードトラックでのアルコール飲料の販売も認めていない。
ルシアーノさんの店「クレピオカ(クレペリーア・イ・タピオカリーア)」はクレープの販売から始めたが、販売数では1対10で、後発のタピオカが圧倒的な人気を博している。「タピオカ」は、キャッサバ(マンジョッカ)芋の粉をフライパンで加熱し、白いホットケーキのような生地に焼いて好みの具材を載せて食べる伝統的なスナック。昔からある食べ物だが、グルテンフリーということもあり、他の菓子より低カロリーということで近年改めて注目を浴びている。
「タピオカはハンバーガーやフライドポテトよりも低カロリーだから手が伸びやすいわね」(顧客のジャミーリ・ネリさん)
ルシアーノさんの事業には家族の協力が欠かせない。クレープの生地、ソースは家族の手によるものだ。
ルシアーノさんはプログラムで学んだことを広報にも生かしている。購入した顧客向けにフリーWifiサービスの提供を始めたのだ。ブラジル人のSNS好きを生かした宣伝手法だ。
狙い通りクレープやタピオカを買った顧客はその場で写真やコメントを投稿をし、店の宣伝に一役買ってくれている。
ルシアーノさんのフードトラックは1日約400個販売する。商品の価格帯は5レアル(約220円)から14レアル(約600円)で、月の売上は平均で4万レアル(約170万円)とのことだ。
「今日の個人事業主は事業の構造を理解し、仕入・販売・マーケティング・利益の創出など事業の全体に対し十分な知識と関心を持って運営しています。こういった中小・零細事業主が増えることが社会の活性化につながります」(セブラエ・アンドレリーナ・ファラチさん)
<データ>
SEBRAE
Central de Relacionamento: 0800-570-0800
www.sebrae.com.br
CREPIOCA CREPERIA E TAPIOCARIA
Empresário: Luciano Nery da Silva
Telefone: (031) 9201 2495/ (31) 8883-0910/ (31) 3324-5412
www.crepioca.com
(文/原田 侑、写真/Reprodução/「Pequenas Empresas & Grandes Negócios」/TV Globo)
「ペケーナス・エンプレーザス・イ・グランジス・ネゴーシオス」より、写真は「クレピオカ」。TVグローボの「ペケーナス・エンプレーザス・イ・グランジス・ネゴーシオス」は日本ではIPCTV(グローボ・インターナショナル)(080-3510-0676 日本語対応ダイヤル)で放送中