ブラジル人の名前が長い理由

2015年 11月 3日

ジョビン像

同僚の日系人でカチア・ミハラさんという方がいます。彼女のフルネームは、カチア・トモミ・ミハラ・レイチと言います。

ミハラ・レイチというのが苗字で、カチア・トモミというのが名前です。非日系人の旦那さんと結婚した時に、レイチという苗字がついたとのことです。ブラジルでは、結婚したら苗字を変えるのではなく、足してしまうんですね。

カチアさんには、ユミちゃんという可愛らしい娘さんがいます。ユミちゃんのフルネームは、ハケル・ユミ・ミハラ・モラエス・レイチだそうです。いくらなんでも長すぎませんか?

モラエスというのは、カチアさんの夫のお母さんの苗字だそうです。なぜ、おばあちゃんの苗字までくっつけるのかと聞いたところ、「おばあちゃんがまだ生きているから」だとの説明でした。

意味が分からなかったので、詳しく教えてもらいました。

ブラジルでは両親の苗字を引き継ぐのは普通だそうですが、さらに祖父母の苗字もくっつけることがあるらしいのです。苗字をつける理由は、祖父母が「喜ぶから」という理由しかないそうです。

カチアさんは、自分が結婚した時に義理の母モラエスさんの苗字をつけなかったので、それをずっと気にしていたそうです。そこで、子供が生まれたときにモラエスさんの苗字を付けてあげたんだそうです。

祖父母が亡くなっているのであれば、両親の苗字だけ引き継ぐのが普通だそうです。

でも、カチアさんにも一つ悩みがあるそうです。それは、娘のユミちゃんが自分のフルネームをまだ覚えることができないということだそうです。

(文/唐木真吾、写真/Ricardo Cassiano/PMRJ)
ブラジルでは、母方の名字と父方の苗字を両方使うときは母方の名字が先にくることが多いという。20世紀を代表する作曲家のひとりアントニオ・カルロス・ジョビンも本名はアントニオ・カルロス・ブラジレイロ・ジ・アウメイダ・ジョビン。ブラジレイロ・ジ・アウメイダは母方(ニウザ・ブラジレイロ・ジ・アウメイダ)、ジョビンは父方(ジョルジ・ジ・オリヴェイラ・ジョビン)から受け継がれた。写真はイパネマ海岸に建つアントニオ・カルロス・ジョビン像

著者紹介

唐木真吾 Shingo Karaki

唐木真吾 Shingo Karaki
1982年長野県生まれ。東京在住。2005年に早稲田大学商学部を卒業後、監査法人に就職。2012年に食品会社に転職し、ブラジルに5年8カ月間駐在。2018年2月に日本へ帰国。ブログ「ブラジル余話(http://tabatashingo.com/top/)」では、日本人の少ないブラジル北東部のさらに内陸部(ペルナンブーコ州ペトロリーナ)から見たブラジルを紹介している。
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