「あいちトリエンナーレ2016」にブラジル人アーティストが参加
2016年 10月 2日3年に一度、愛知県で開催される国内最大級の国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2016」が、名古屋市、岡崎市、豊橋市を会場にして開催中だ。
今年のトリエンナーレでは国際展参加アーティスト85組のうち66組が新作を披露しているとのことだが、ブラジル人アーティストが数組参加しているほか、トリエンナーレのキュレイターとしてもブラジル人が参加している。
キュレイターで参加しているのはDaniela Castro ダニエラ・カストロ。ブラジル、サンパウロを拠点にインディペンデント・キュレーター、ライターとして活動している。リオデジャネイロを拠点とする国際的リサーチプログラムCAPACETEのメンバー。主な展覧会に、移動と交流をくり返しながらブラジル7都市を巡回した「Rocomebining Territories(領土再編)」(2006−2010)、ヨヘン・フォルツとの共同キュレーションによる「The Spiral and the Square: exercises on translatability(螺旋と四角:変換可能性のための運動)」(Bonniers Konsthall、ストックホルム/ノルウェー2都市に巡回)がある。2008年には Museum of Image and Sound −MI S(サンパウロ)の開館記念展「Lights Out」キュレーターも務めた。
参加アーティストは下記。
Libidiunga Cardoso (a.k.a.Leandro Nerefuh) リビヂウンガ・カルドーゾ(レアンドロ・ネレフ)は、社会科学と美術を学んだ後、学術と芸術表現との間にある曖昧な領域でその活動を続けている。パフォーマンスやインスタレーション、展覧会での展示から、ワークショップ、ある社会的文脈のためのプロパガンダなど、表現の幅は広い。「あいちトリエンナーレ2016」では、豊橋駅前大通り会場、はざまビル大場1Fにてサウンド・インスタレーション「日蝕現象/Achado arqueológico, achado não é roubado」(写真上)を披露している。
João Modé ジョアン・モデーは、色とりどりの紐を繋いで作った大きなネットによる参加型のインタラクティヴ作品「NET Project」を展示中。大きく張られたネットにアーティストや鑑賞者がさまざまな素材や色の紐を結びつけることで作品が育っていくというもの。世界各地で展開してきたという。10月16日(日)までは、名古屋市美術館(中区栄2丁目17-25。開館日の午前9時 30 分から午後5時まで)、穂の国とよはし芸術劇場 PLAT 前広場(PLAT 会場、豊橋市西小田原町 123。開館日の午前11時から午後5時まで)、籠田公園(岡崎市籠田町68。開館日の午前11時から午後5時まで)の3か所で、10月17日(月)から10月23日(日)までは、愛知芸術文化センター(東区東桜 1-13-2)で展示される。
Laura Lima ラウラ・リマは、リオデジャネイロで哲学と視覚芸術を学んだ後、1990年代半ばから人間も動物を等価に扱う作品群などを発表。豊橋にある築50年になる4階建ての水上ビルにて、文鳥を中心とした小鳥100匹を放ち、鳥が生息する空間そのものを制作するインスタレーション「Fuga (Flight)」を展開中。
Mauro Restiffe マウロ・ヘスチッフィは、好んで雨や曇りの日に撮影を行う写真家。粒子が粗く、グレーの濃淡で表現される表現が特徴。彼の表現もまた、既存の表現の常識を覆す。名古屋市美術館にて、アーティスト・イン・レジデンスで愛知に2週間滞在し撮影した作品などを展示。
すでに公演を終えたパフォーマンスでは、振付家のダニ・リマが主宰するダンスカンパニーによる「Little collection of everything」がオープニング公演として8月に上演された。ダニが初めて子供向けに創作したダンスパフォーマンスで、同公演では愛知県内のブラジル人学校の子供たちが招待されて観賞した。
カンパニーのダンサーのひとり清水悟さんは、日本国内のブラジル人学校に通っていたことのある日系3世。講演が行われたのがテメル現大統領が正式に就任する前(ジウマ前大統領の罷免決議の前)で、「テメル出ていけ」というメッセージを記したTシャツでメッセージをアピールしていた。
「あいちトリエンナーレ2016」(https://aichitriennale.jp/)は10月23日(日)まで開催中。
(文/麻生雅人、写真・取材協力/山下紫陽)