ブラジル発のアニメ映画「ペルリンプスと秘密の森」、公開中

2023年 12月 19日

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映画「ペルリンプスと秘密の森」はYEBISU GARDEN CINEMA、シネマカリテ他、全国で公開中(© Buriti Filmes, 2022 画像提供/チャイルドフィルム)

現在公開中のブラジルのアニメ映画「ペルリンプスと秘密の森」のアレ・アブレウ監督が11月14日(火)、駐日ブラジル大使館で記者会見に臨んだ。

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映画「ペルリンプスと秘密の森」はYEBISU GARDEN CINEMA、シネマカリテ他、全国で公開中(© Buriti Filmes, 2022 画像提供/チャイルドフィルム)

“巨人”による環境破壊によって失われつつある“魔法の森”を守るため、秘密裏に森に派遣された二人のエージェント、クラエとブルーオ。目的は森を守るカギを握る存在「ペルリンプス」を探しだすこと。

太陽の王国から来たクラエと、月の王国から来たブルーオ。長く対立しあっている国から来たふたりは、当初はどちらが先に「ペルリンプス」を見つけられるかを競い合っていたが、目的遂行のために、次第に互いに助け合うようになっていく。

そして、彼らは、自分たちに与えられた真のミッションを知ることになる…。

アレ・アブレウ監督は前作「父を探して」(2013年)が第88回アカデミー賞長編アニメーション賞にノミネートされたことでも知られる気鋭のアニメーション作家。「ペルリンプスと秘密の森」は、「宇宙の少年」(2008)、「父を探して」に続く3作目の長編作品となるとのこと。

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アレ・アブレウ監督(撮影/麻生雅人)

「再び日本に来られることができてうれしく思います。今回の来日では偉大な日本のアニメ―ション作家の細田守監督にもお会いすることができました」(アレ・アブレウ監督)

映画のタイトルにもある“ペルリンプス”とは、ポルトガル語でホタルの光を指すピラリンポスという言葉から生まれた造語とのこと。制作を始めた当初は“魔法の森の旅”という仮のタイトルだったという。

「この映画では、“森”そのものを、子ども時代のメタファーとして描いています。そして“巨人”(=大人)になってしまうと、その“森”は様々なことに埋め尽くされて、失われてしまいます」(同)

ペルリンプスを探す旅を続けるうちに、エージェントのクラエとブルーオは、ペルリンプスが何かを見つけて(=成長して)、“巨人”の世界に入り込んで、“真のミッション”を遂行すべく、そこからおそらく彼らは、新たな冒険へと踏み出すことになる。

「大人がどうやって、環境問題や政治的な問題を解決していくことができるかを考えた時、子ども時代に誰もが持っている“光”を宿したままの大人にこそ、その答えを託せるのではないか? とこの映画は問いかけています」(同)

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アレ・アブレウ監督(左)とヴィヴィアーニ・ギマランイス助監督(右)(撮影/麻生雅人)

「そこで、映画を見ている人たちが自由に想像できるように、タイトルはあえて意味のない言葉にすべきだと考えていたとき、象徴的な何かを表わしていて、しかし意味がない言葉、“ペルリンプス”というアイディアが、製作陣の中から出てきたのです」(同)

「ペルリンプスと秘密の森」では、映画の中のあらゆる存在が現実社会のメタファーとして機能しているためか、キャラクターも、彼らが動き回る場所も、あらゆる存在が抽象的だ。そしてその抽象的な世界は、カラフルでありながら独特の印影を持った不思議な色彩の中で描かれる。「観る」というより、「感じる」映画といえそうだ。

「私自身、既存の商業映画というのは同じことを繰り返してばかりいるように見えて、映画監督としても、一人の観客としても、飽き飽きしています。私は今回『ペルリンプスと秘密の森』を制作するにあたり、子どもが遊びながら何かを組み立てるように、ロジックに全く頼らずに作りました」(同)

「論理的に整理されている映画を基準にすると、散らかった印象を抱かれるかもしれません。しかし、私はこの散らかった世界の中に、観客の皆さんに入ってきてほしいと思っています」(同)

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左からチャイルドフィルム代表・工藤雅子氏、ヴィヴィアーニ・ギマランイス助監督、アレ・アブレウ監督、駐日ブラジル大使館のホメロ・マイア参事官(撮影/麻生雅人)

映画「ペルリンプスと秘密の森」はYEBISU GARDEN CINEMA、シネマカリテ他、全国で公開中。上映劇場はhttps://theaters.jp/15582を参照。

(文/麻生雅人)