フランシスコ教皇と、ミナスジェライス産クラフトカシャッサと手作りチーズの思い出

2025年 04月 24日

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フランシスコ教皇に贈られたクラフトカシャッサ(画像/ Vale da Canastra Alambique/Divulgação)

ローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇が4月21日(月)、ブラジリア時間午前2時35分(現地時間午前7時35分)に88歳で死去した。

ブラジルの現地メディア「G1」は、フランシスコ教皇の思い出について報じている。

2013年に初の外遊先としてブラジルを訪問した教皇は、在任中、バチカンでも大勢のブラジル人を迎え、ミナスの手作りチーズやクラフトカシャッサなど、ブラジルの名物を贈られた。

2022年8月には、180人の若者のグループがバチカンを訪れ、その中の一人の女性クリスチーナ・シャインさんがミナスジェライス州カナストラ地域産のクラフトカシャッサ「ヴァーリ・ダ・カナストラ」を教皇に贈り、ブラジル国内でニュースになっていた。

これは2021年にフランシスコ教皇が一般謁見会でブラジル人グループに贈ったジョークを受けての贈り物だった。

新型コロナウィルスのパンデミックの最中だった2021年5月26日、バチカンのサン・ダマソ広場でブラジル人グループの謁見を受けた教皇は、カンピーナ・グランジ(パライーバ州)出身のジョアン・パウロ・ソウト・ビトール神父に「教皇様、私たちブラジル人のためにお祈りください」と祈りを求められた。その際、教皇は微笑みながら冗談で「あなた方には救いはありません。カシャッサばかり飲んで、祈りが足りなません」と答えたという。

このジョークはブラジル人に気に入られていたようで、「G1」などの現地メディアで当時も報じられていたが、今週、ブラジルで発信されている教皇を偲ぶ記事でもこのエピソードが語られている。

バチカンを訪れたクリスチーナさんは、このジョークを受けて教皇に、ブラジルの良質なカシャッサを贈ろうと考え、ミナスジェライス州のクラフトカシャッサを選んだという。

クリスチーナさんは2022年当時、「G1」のインタビューに下記のように答えていた。

「(教皇に贈る)カシャッサを選ぶにあたって、私には一連の基準がありました。第一に、ブラジル農牧供給省の認可を受けていて、認証シールがあり、封印もされた、合法的なカシャッサであること。第二にこだわったのは瓶のサイズです。ジョークに答えるためには(一般的な)750mlでは大きすぎますし(笑)、50mlのお土産品の瓶では小さすぎます。そこで270mlの容量の製品を選びました。そして最も素晴らしく、名産地の手作りの魅力が感じられる製品を探し、“ヴァーリ・ダ・カナーストラ”にたどり着きました」

また、ブラジルの名産品としては、フランシスコ教皇はミナスジェライス州産の手作りチーズを2度、贈られているという。

1回目は、2022年にパトリッキー・サムエウ・バチスタ神父の手で贈られた、ミナスジェライス州カナストラ地域サン・ホッキ・ジ・ミナス産の手作りチーズ「バラォン・ダ・カナーストラ」。

2022年当時、「G1」はバチスタ神父のコメントを紹介している。

「教皇様はとても素朴な方で、私がチーズをお渡しした際に、この歴史的な瞬間に、製造工程、カナストラ地域の手作りチーズの伝統、このチーズが世界各地で知られ、認められているかについて、少しお話しすることができました。教皇様はこの食べ物を食さずにはいられませんでした」(パトリッキー・サムエウ・バチスタ神父)

もうひとつのチーズも同じくカナストラ地域サン・ホッキ・ジ・ミナス産の製品で、イヴァイールさんとルシアさんの家庭で作られている「ケイジョ・ド・イヴァイール」。夫妻の友人であるジョルダーニ・マセード氏を介し、駐ローマ・ブラジル大使を通じて教皇に贈られたという。

後に夫妻のもとに教皇から感謝の手紙が届き、イヴァイールさんとルシアさんは驚き、喜んだ。

教皇からの手紙には「心のこもったお便りと、あなたの故郷の独特の名産品に、感謝を申し上げます。あなたの贈り物と、添えられた言葉に、心から感謝しています」と記されていたという。

(文/麻生雅人)