リオで、「議員に対する訴追を困難にする議員保護憲法改正案」への抗議集会。カエターノ・ヴェローゾ、ジャヴァンらも参加

2025年 09月 22日

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リオデジャネイロ、9月21日。恩赦反対のシールを身に着けてブリンダージェン憲法改正法案(議員に対する訴追を困難にする議員保護憲法改正案)と恩赦法案に対する抗議活動に参加した学生のレチーシア・リンデン・ホッシャさん(写真/Tânia Rêgo/Agência Brasil)

9月21日(日)、リオデジャネイロ市ゾナスウ(南部地域)のコパカバーナ海岸に、数千人の市民が集まり、ブリンダージェン憲法改正法案(議員に対する訴追を困難にする議員保護憲法改正案)および、最高裁(STF)によってクーデターの罪で有罪判決を受けた者への恩赦に対する抗議を行った。対象には、ジャイール・ボウソナーロ前大統領と元閣僚、側近らが含まれている。

サンパウロ大学(USP)傘下の「デジタル政治言説モニター」の推計によると、コパカバーナでの抗議行動には約4万1,800人が参加した。

抗議の対象となったこの憲法改正案は9月16日(火)に下院で承認されたもので、議員に対する刑事訴追の開始を困難にする内容となっている。この制度改正は、議員に対する刑事訴追を制度的に制限するものであり、訴追を開始するには上下院議会の事前承認が必要とされるため、実質的に訴追のハードルが高くなる。

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リオデジャネイロ (RJ)、9月21日。コパカバーナで、ブリンダージェン憲法改正法案(議員に対する訴追を困難にする議員保護憲法改正案)と恩赦法案に対する抗議活動に参加したジャヴァン(写真/Tânia Rêgo/Agência Brasil)

「恩赦反対」「民主主義万歳」と叫ぶ声が響く中、市民たちはコパカバーナ海岸のポスト5付近に集まり、政治指導者の演説を聞き、シコ・ブアルキ、カエターノ・ヴェローゾ、ジウベルト・ジウ、パウリーニョ・ダ・ヴィオラ、ジャヴァンらによるライブを楽しんだ。

カエターノ・ヴェローゾは音楽パフォーマンスの中で、「ブラジルの民主主義は持ちこたえている」、「ブラジルの文化は非常に力強く、生命力に満ちている」と語った。

「私たちは、身の周りに忍び寄る恐怖に対して沈黙してはならない」と彼は強調した。

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リオデジャネイロ (RJ)、9月21日。コパカバーナで、ブリンダージェン憲法改正法案(議員に対する訴追を困難にする議員保護憲法改正案)と恩赦法案に対する抗議活動に参加したカエターノ ヴェローゾ(写真/Tânia Rêgo/Agência Brasil)

ジウベルト・ジウは、ブラジルが過去にも同様の困難な時期を経験してきたことを振り返り、こう語った。

「私たちは、常に自分たちの手で社会を築く力を求めてきました。それこそが、私たち国民にとって最大の価値なのです」(ジウベルト・ジウ)

国家公務員として働いた後、現在は引退しているへジーナ・ジ・ブリットさん(68歳)は、ライヴパフォーマンスを間近で見るために、いち早く会場に到着した参加者のひとり。彼女は、クーデターを企てた者たちに対抗するこの運動を支持することは、非常に重要だと語った。

「私は軍事独裁政権下で育ちました。あの頃がどんなものだったか、よく知っています。あの連中は、つい最近有罪判決を受けたばかりなのに、まだ刑も執行されていないのに、もう恩赦を求めているのですか? そしてそしてこの悪党議会、右派の議会は国民のための議題(たとえば月収5,000レアルまでの所得税免除)を採決する代わりに、制度上でも道義上でも国民のことを考えず、自分たちのことしか考えていません」(へジーナ・ジ・ブリットさん)

リオ州バイシャーダ・フルミネンシ地域に属するドゥッキ・ジ・カシアス市にある州立学校に通う1学生カイオ・ドス・サントスさん(16歳)は、今回の抗議行動に参加した理由について、「国民に対する、国会の背信行為に抗議するブラジル市民の動きは非常に重要だと思ったから」と語った。

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リオデジャネイロ、9月21日。恩赦反対のシールを身に着けてブリンダージェン憲法改正法案(議員に対する訴追を困難にする議員保護憲法改正案)と恩赦法案に対する抗議活動に参加した学生のカイオ・ペリス・ドス・サントスさん(写真/Tânia Rêgo/Agência Brasil)

「このブリンダージェン憲法改正法案(議員に対する訴追を困難にする議員保護憲法改正案)は、僕たちを完全に侮辱しています。ブラジル国民は、彼らが今行っていることを黙って見ていてはいけない。僕は公立学校の学生として、教育や医療の制度を破壊しようとするボウソナーロのような人々に反対する責任があると思っています。彼らは、私たちの社会や私たちの国民に何ひとつ良いことを行っていないのです」と、カイオさんは厳しく批判した。

「僕が独裁政権について学んでいることから、極右の復活を防ぐための意識や、投票における判断力を友人たちに広めようとしています」と、カイオさんは付け加えた。

元刑務官のエジソン・エニオ・マルチンス・トンネウさん(75歳)は、妻とともに抗議集会に早くい時間から参加して、下院議会に対する抗議の意思を示した。

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リオデジャネイロ、9月21日。ブリンダージェン憲法改正法案(議員に対する訴追を困難にする議員保護憲法改正案)と恩赦法案に対する抗議活動に参加したエジソン・エニオ・マルチンス・トンネウさん(写真/Tânia Rêgo/Agência Brasil)

「もし私たちが声を上げなければ、下院は犯罪者の巣窟になり下がってしまう。この憲法改正案(PEC)は、上院が阻止すべきだと思います。どんな犯罪者でも立候補して、議員になって、状況をさらに悪化させてしまうから。今以上にブラジリアに犯罪が蔓延することになる。年齢に関係なく、誰もがブラジルと家族のために力を合わせるべきです。ボウソナーロは刑務所で朽ち果てるべきです。ブラジリアであのようなこと(注:三権中枢施設の襲撃)をした者は、必ず償わなければならない」(エジソン・エニオ・マルチンス・トンネウさん)

リオデジャネイロ連邦農業大学(セロペジカ校)の建築学科に通う学生レチシア・ホッシャさん(20歳、写真一番上)は、友人たちとともに参加し、「歴史を繰り返してはならない」と語った。

「私たちは過去を決して忘れてはならない。私たちが勝ち取った成果のひとつは、ボウソナーロが有罪判決を受けたことなのです」(レチシア・ホッシャさん)

(記事提供/Agência Brasil、構成/麻生雅人)

※追加発表・加筆された「デジタル政治言説モニター」による推計参加人数を加筆しました。