第38回東京国際映画祭、11月5日まで開催。ブラジル映画週間では新作3作品を上映

2025年 10月 28日

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第38回東京国際映画祭「ブラジル映画週間」で上映されるブラジル映画「カーザ・ブランカ」(画像提供/東京国際映画祭)

最新作からアーカイブの名作まで、世界各国の映画が楽しめる東京国際映画祭が今年もスタートした。

38回目を迎える同映画祭は、10月27日(月)からはじまり、11月5日(水)までの10日間、日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区の各会場にて開催される。

「コンペティション」部門の15作品に加え、「ガラ・セレクション」部門、「アジアの未来」部門、「ワールドフォーカス」部門、「Nippon Cinema Now」部門など多岐に渡る分野の作品が上映される。

「ワールドフォーカス」部門ではブラジルの特集上映も行われ、「ブラジル映画週間」と題され、計6作品が紹介される。そのうち3作品が新作映画となっている。

リオデジャネイロ郊外の、主に低所得者層が多く生活する街を舞台にした「カーザ・ブランカ」も今年1月に本国で公開された新作映画だ。

主人公デー(ビッギ・ジャウン)は、リオ州メスキータ市チャトバ地区で、祖母とふたりで暮らす黒人の少年だ。

祖母がアルツハイマー病の末期にあることを知らされたデーは、家賃も払えないほど生活に困る中、2人の親友の助けを借りて、祖母に尊厳と幸福に満ちた最期の時間を過ごしてもらおうと奮闘する。

白人中心の中産階級と世界とも、「シティ・オブ・ゴッド」などで描かれたファヴェーラ(スラム街)の世界とも異なる、あまり表舞台で陽が当たることの少ないコミュニティを描いたこの映画は、アフリカ系住民が多く暮らすこの地域ならではの連帯感やアイデンティティも映し出す。

サウンドシステム、フラカォン2000によって2010年代にヒットしたファンキ「シャトゥバ・ジ・メスキッタ」の原曲を生んだ町としても知られるシャトゥバは、ファンキ・カリオカが盛んな地域でもある。この映画では、若者たちにとってのファンキの存在も描かれる。ファンキ・カリオカの現役人気ラッパー、エリセッチことレノン・サントス・バルボーザが実名で出演している。

映画のタイトル「カーザ・ブランカ(Kasa Branca)」は、ホワイトハウスを意味するポルトガル語のカーザ・ブランカ(Casa Branca)の頭をの「カー(Ca)」を、同じ発音のアルファベット「カー(K)」と入れ替えたカジュアルな表記だ。このタイトルが意味するものは、映画の終盤で明らかになる。

「カーザ・ブランカ」は2025年のリオ映画祭で、長編フィクション部門の最優秀監督賞(ルシアーノ・ヴィジガウ監督)、最優秀助演男優賞(ヂエゴ・フランシスコ)、最優秀撮影賞、最優秀音楽賞を受賞した。これによりルシアーノ・ヴィジガウ監督は、同映画祭長編フィクション部門で最優秀監督賞を受賞した初の黒人監督となっている。

「ブラジル映画週間」は国立映画アーカイブ 長瀬記念ホール OZU(東京都中央区京橋 3-7-6)にて下記のスケジュールで上映される。定員310名(各回入替制・全席指定席)。

料金は一般1,300円、高校・大学生・65歳以上は1,100円、小・中学生900円、障害者手帳をお持ちの方(付添者は原則1名まで)・キャンパスメンバーズが800円。※「ビトゥーカ ミルトン・ナシメント フェアウェルツアー(仮題)」のみ特別料金となる。

チケットのオンライン販売は各上映日の3日前正午からはじまる(例:「ブルー・トレイル」10月28日(火)15:00~の回は10月25日 12:00より発売)。

「黒い神と白い悪魔」(1964) ▼10月29日(水)15:00~/10月31日(金)19:00~
「アントニオ・ダス・モルテス」(1969) ▼10月29日(水)19:00~/10月31日(金)15:00~
「セントラル・ステーション」(1998)  ▼10月28日(火)19:00~/11月2日(日)13:00~
「カーザ・ブランカ」(2025) ▼10月30日(木)19:00~/11月1日(土)15:00~
「ブルー・トレイル」(2025) ▼10月28日(火)15:00~/10月30日(木)15:00~/11月1日(土)19:00~
「ビトゥーカ ミルトン・ナシメント フェアウェルツアー(仮題)」 ▼11月02日(日) 16:00~

映画祭詳細は公式HP(https://2025.tiff-jp.net/ja/)を参照

(文/麻生雅人)