川辺の家族が採る繊維を産業化へ 公的支援がアマゾンのマウヴァ事業を後押し

2026年 06月 2日

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繊維として注目を集めるマウヴァ(Urena lobata L.)(写真:Andreas Rockstein)

ブラジルの科学技術革新省(MCTI)傘下である研究・プロジェクト資金供給機関(Finep)は、アマゾン地域に自生する植物マウヴァ(malva)の生産連鎖(サプライチェーン)構築プロジェクトに資金を供給する。

プロジェクトは、パラー州で40年にわたりジュート(黄麻)製品を手がけてきたカスタニャウ繊維社(CTC)が提案した。

マウヴァの繊維は川辺に暮らす家族経営のコミュニティによって採取され、テキスタイル製品の原料として利用されている。今回の支援は、収穫から加工、流通に至る各段階での技術導入や作業環境の改善、生産性向上、高付加価値の繊維製品生産を目的としている。

Finepのホドリゴ・セシオーソ農工業チェーン・防疫・保全部門長は、マウヴァの生産連鎖が直面する課題として、栽培から繊維の精製に至るまでの技術導入率が低い点を挙げた。適切な収穫・輸送・乾燥・圧縮・保管のためのインフラ不足が生産者にとってリスクと損失をもたらしているという。

マウヴァ繊維は従来、農業用サックやロープ、ラグ、家具の張り地などに使われてきたが、近年はより幅広く注目度が高まっている。ブラジル人女優アリス・カルヴァーリョが米国のアカデミー賞授賞式で、CTCがジュートとマウヴァを組み合わせて製織した生地で仕立てたドレスを着用したことが国際的な話題となった。

栽培は氾濫原地帯で行われ、種子は河床にまかれ、水位が下がった時期に定着する。満水期の始まりに収穫が行われ、農家は植物を刈り取り束ねて約10日間水に浸して柔らかくした後、水中から繊維を取り出し、手づくりの物干しに干して乾燥させる。こうした工程は手間がかかり、適切な設備がないために品質や収量にばらつきが生じやすい。

最終製品の用途が限定的で買い手が少ないことも課題となっており、プロジェクトでは市場開拓や付加価値向上に向けた取り組みも視野に入れている。

Finepが承認したプロジェクトは、種の改良に関する調査、収穫用機械や種子の破砕・選別機の開発、栽培管理のためのデジタルインフラ整備、大規模生産に向けた金融メカニズムの評価、他地域へ展開可能なコミュニティ型パイロット事業の確立、そしてより高品質な繊維を得ることを目指した生産各段階での試験・評価を行うことを想定している。

Finepのエリアス・ハモス・イノベーション担当ディレクターは「政府が企業や研究機関とともにイノベーションのリスクを負うこの種の支援は、関係コミュニティに直接的・間接的な利益をもたらす典型的なブラジル発の取り組みを実現するうえで不可欠だ」と述べた。

プロジェクトの総投資額は2,570万レアル(約8億1,415万円 ※換算レートは執筆時)で、そのうち約60%に相当する1,520万レアル(約4億8,152万円)がFinepによる補助金として資金提供される。資金は公募「Finep Amazônia — 継続的イノベーションへの経済的補助(バイオエコノミーと地域開発)」に基づくものだ。

提案企業のカスタニャウ繊維社(CTC)に加え、プロジェクトには連邦アマゾナス大学、ブラジル農牧研究公社(Embrapa)、アマゾン・バイオビジネス・センター(CBA)という3つの科学技術・イノベーション機関と、企業4社(Bioverse、Supernova、MGK Equipamentos、LABB41)が参加する。

(記事提供/Agência Brasil、構成/麻生雅人)