【W杯2026】アフリカ勢は過去最多の10か国が出場
2026年 06月 11日
モロッコは、2026年ワールドカップでブラジルが最初に対戦する相手となる。試合はブラジリア時間の6月13日(土)19時(現地時間午後6時/日本時間6月14日(日)午前7時)、ニュージャージー州で行われる。アフリカ大陸で最も重要な大会であるアフリカネイションズカップの現王者であるモロッコ代表は、今大会でも注目国の一つだ。
「アトラスのライオン」の愛称を持つ同代表は、カタール大会(2022年)で世界を驚かせ、4位に入賞。ブラジル(7位)を上回る成績を残した。ブラジルはクロアチアとのPK戦で敗れ、準々決勝で姿を消している。アフリカ勢として史上初めてワールドカップの準決勝に進出したことで、モロッコは世界各地から声援を集めたが、準決勝ではフランスに敗れた。フランスはその後、決勝でアルゼンチンにPK戦の末敗れ、準優勝となった。
「モロッコは2022年に歴史的な戦いを見せました」と語るのは、TV Brasil の歴史学者でスポーツコメンテーターのハケウ・モッタ氏だ。彼女は、モロッコがブラジルにとって手強い相手になるとの見方を示す。「モロッコには史上最高のサイドバックの一人、(アクラフ)ハキミがいます。一方でブラジル代表は左サイドに多くの問題を抱えています」と述べ、パリ・サンジェルマン(PSG)所属の同選手を引き合いに出して指摘した。
歴史学者の見立てでは、ハキミは試合で頻繁に起用され、特に左サイドでプレーするヴィニシウス・ジュニオールに対して強い圧力をかける展開になるとみられている。ブラジルにとっては、この初戦で勝利することが重要で、グループ首位に立つことができれば、決勝トーナメント(ラウンド16前のステージ)で有利な組み合わせを得られる可能性がある。ブラジルとモロッコは、スコットランドとハイチを含むグループCに入っている。
モロッコに加え、今年のワールドカップ(開催地:カナダ、メキシコ、米国)には、他に9つのアフリカ代表が出場する。アフリカ勢10か国の参加は大会史上初で、前回のカタール大会から16チーム増えた48か国が参加する新フォーマットによるものだ。
FIFAワールドカップ2026大会は11日(木)に開幕し、メキシコ対南アフリカの開幕戦が、ブラジリア時間16時(日本時間6月12日(金)午前4時)からメキシコシティのエスタディオ・アステカで行われる。南アフリカ代表がワールドカップに出場するのは16年ぶりで、前回の出場は自国開催となった2010年大会だった。同大会はアフリカ大陸で初めて開催されたワールドカップでもある。
モッタ氏は、南アフリカやモロッコに加えて、セネガル、ガーナ、エジプトといったアフリカ大陸の有力国にも注目すべきだと指摘する。彼女は、6日(土)に行われたブラジル対エジプトの親善試合に触れながら、「ファラオ」の愛称で知られるエジプト代表の潜在力を強調した。
「彼らには(FWモハメド)サラーや(右ウイングのマフムード)トレゼゲといったトップクラスの選手がいます。次のステージに進む可能性は十分にある」と、モッタ氏は展望を語った。
エジプトは前回大会を欠場しており、今回の出場は復帰戦となる。同国は数学の分野で先駆的な歴史を持ち、1934年イタリア大会でアフリカおよびアラブ諸国として初めてワールドカップに出場した。
セネガルは今回が4度目の出場で、代表の象徴的存在であるFWサディオ・マネ(アル・ナスル)がチームを牽引する。3大会連続の出場となるセネガルは、2002年の日韓大会で準々決勝に進出した成功体験を持つ。
「セネガルは非常にレベルの高い代表ですが、フランスやノルウェーと同組で、最も厳しいグループの一つに入っています」(ハケウ・モッタ氏)
一方、ガーナは連続出場を果たし、2010年の南アフリカ大会で記録した準々決勝進出と同等、あるいはそれ以上の成績を狙う。「ブラックスターズ」の愛称で知られる同代表は、当時ウルグアイとの試合で物議を醸した場面により敗退した。延長戦終了間際の1–1の場面で、ウルグアイのルイス・スアレスが手でゴールを阻止。続くPKでギャンがクロスバーに当てて失敗し、勝ち越し点を逃した。
「彼らは非常に技巧に優れ、闘志があり、見ていて美しいサッカーをする選手たちです」とモッタ氏は強調した。彼女は、ガーナがブラジルサッカーを手本としていると述べ、1960年代後半にガーナ代表を率いたカルロス・アルベルト・パレイラ監督の存在を想起した。
アルジェリアは「砂漠のキツネ」の愛称で知られ、最後にワールドカップに出場したのは2014年のブラジル大会だった。同大会では、ポルト・アレグリのベイラ=ヒオ競技場で行われた決勝トーナメント1回戦で、ドイツと壮絶な試合を演じた。ドイツはその後、ミネイラォンでブラジルに7得点を浴びせたチームでもある。アルジェリア代表は2対1で敗れたものの、相手GKを何度も脅かす決定機をつくり、強豪を追い詰めた。
また今大会には、初出場国や経験の少ない代表チームも参加している。大西洋に浮かぶ島国カーボベルデは、「ブルーシャークス」の愛称を持つ代表が高い自信を持って臨む。チームはディアスポラ(国外移住者)出身の選手で構成され、その多くが欧州でプレーしている。
コンゴ民主共和国は、50年以上ぶりにワールドカップへ復帰する。同国はエボラ出血熱の流行を乗り越え、ジャマイカとのプレーオフに勝利して出場権を獲得した。かつては「ザイール」として大会に参加していた。
モッタ氏は、今大会の特徴として「多様性」を挙げ、アフリカ選手の価値が高まっている点を強調する。彼女によると、アフリカ出身の選手は欧州サッカーで存在感を増しており、「技術レベルもより洗練されている」という。また、多くのアフリカ代表が、国外で生まれ育ったルーツを持つ選手を招集しており、こうしたチームは「ディアスポラ代表」と呼ばれる。これは、政治的・社会的背景により世界各地へ広がったアフリカ系住民の歴史を反映したものだ。
<リスクと課題>
好調が続く一方で、モッタ氏は大会に参加する代表団や関係者が直面し得る困難にも注意を促す。今週初め、ソマリア人審判のオマル・アブドゥルカディル・アルタン氏が米国への入国を拒否された。同氏はアフリカを代表するトップレフェリーの一人とされる。
「米国は現在、別の国、イランと対立状態にあります。倫理規定やFIFAの規則、そして国連憲章が掲げる『サッカーを通じた人権と平和の促進』という理念に照らせば、米国は本来ワールドカップを開催すべきではないと言えるでしょう」と、歴史学者は指摘した。
2026年FIFAワールドカップに出場するアフリカ代表は以下。
南アフリカ
アルジェリア
カーボベルデ
コートジボワール
エジプト
ガーナ
モロッコ
コンゴ民主共和国
セネガル
チュニジア
(記事提供/Agência Brasil、構成/麻生雅人)




