ブラジル、モロッコに苦戦しW杯初戦はドロー
2026年 06月 14日
ブラジルの“ヘキサ”(6度目の優勝)への挑戦は、波乱含みの幕開けとなった。6月13日(土)、米ニュージャージー州のメットライフ・スタジアムで行われたグループC初戦で、ブラジル代表はモロッコと1–1で引き分けた。同組にはハイチとスコットランドも入っており、両国はこれから対戦する。
試合前から厳しい戦いが予想されていた。FIFAランキングでブラジルは6位、モロッコはそのすぐ後ろの7位。前回カタール大会でアフリカ勢初のベスト4入りを果たしたモロッコは、勢いと実力を兼ね備えた相手だった。
カルロ・アンチェロッティ監督率いるブラジルは、前半の大半で主導権を握られ、鋭いカウンターから失点。チームは連携を欠き、ミスも目立った。一方で、ヴィニシウス・ジュニオールは別格の存在感を放ち、個人技から鮮やかな同点ゴールを決めた。
後半に入ると、ブラジルは攻撃の回数を増やし、選手交代によってビルドアップが改善。ボール保持率も高まり、押し込む時間帯が続いた。しかし、決定力を欠き、逆転には至らなかった。
事前の予想通り、拮抗した展開となった一戦は、最終的に“順当な結果”に落ち着いた。
アンチェロッティ監督はこの1週間、先発メンバーを固く伏せ、練習のうち報道陣に公開される1日15分間でも一切ヒントを与えなかった。
最大の不確定要素となっていた先発は、試合開始約1時間半前、スターティングメンバーの発表によって明らかになった。
負傷で離脱したウェズレイの代役にはイバニェスを起用し、トップにはイゴール・チアゴを選択した。
試合は立ち上がりからモロッコが主導権を握った。アフリカ代表は高い位置を取り、ブラジルのビルドアップに強烈なプレッシャーをかけ、落ち着きを欠くブラジルはパス交換に苦しみ、連続してミスを犯した。開始15分の時点で、“アトラスのライオン”(モロッコ代表の愛称)はすでに6本のシュートを放ち、危険度こそ高くなかったものの、ボール支配率は55%を超えていた。
ブラジルがようやく試合に入り始めたかに見えた20分、モロッコが先制する。イバニェスの強いパスをルーカス・パケタがうまく収められず、ビラル・エル・ハンヌスに奪われ、そのままカウンターが発動。中央で受けたMFブラヒム・ディアスが前線へスルーパスを送り、イスマイル・サイバリがスピードでセンターバック2人を振り切り、飛び出したアリソンの頭上を抜くループシュートを決めた。
失点後のブラジルはさらに硬直し、守備の連携は乱れ、対応は遅れ、脆さが露呈した。モロッコはその隙を逃さず、アンチェロッティ監督率いるチームを自陣に押し込んだ。さらにイバニェスとカゼミーロが立て続けにイエローカードを受け、退場リスクを抱える展開となった。
そんな中でブラジルを救ったのは、やはり個の力だった。31分、左サイドのエリア内でボランチのブルーノ・ギマランイスからパスを受けたヴィニシウス・ジュニオールが、ニール・エル・アイナウイを切り返しでかわし、鋭いクロス気味のシュートを叩き込んで同点に。ニュージャージーのスタジアムを沸かせる見事なゴールとなった。
ブラジルは同点弾のあと落ち着きを取り戻し、パス交換の精度も上がっていった。モロッコも攻撃の姿勢を崩さなかったが、試合全体のテンポはやや落ち着きを見せた。
前半終了前に最も決定的だったのはブラジルのチャンスだった。左サイドからドウグラス・サントスが上げたクロスに対し、右サイドのエリア内でルーカス・パケタがボレーで合わせたが、GKヤシン・ブヌの好セーブに阻まれた。
<後半で持ち直すも逆転ならず>
後半に向けて、アンチェロッティ監督はイエローカードを受けていたイバニェスとカゼミーロを下げ、ダニーロとファビーニョを投入した。気持ちを切り替えたブラジルは、再開直後から前へ出てモロッコのスペースを狭め、主導権を握り始めた。
6分には、左サイドの素早いスローインからイゴール・チアゴがエリア内で受け、力強いシュートを放ったが、GKブヌが反応して弾き出した。背番号25にとって、この試合で唯一の決定機となった。
攻撃の流動性を高めるため、アンチェロッティ監督はさらに2枚を交代。精彩を欠いたイゴール・チアゴとルーカス・パケタを下げ、マテウス・クーニャとルイス・エンヒッキを投入した。終盤にはブルーノ・ギマランイスに代えてダニーロ・サントスも送り込んだ。
交代策が奏功し、ブラジルはモロッコ陣内で試合を支配したものの、最後のパスやフィニッシュの精度を欠き、決定機を作り切れなかった。ハフィーニャもこの日なかなかリズムに乗れなかったが、終盤にヴィニシウス・ジュニオールからのパスを受けて絶好機を迎えた。しかしシュートはミートせず、ブヌの正面に飛んでしまった。
試合終盤には、逆に“アトラスのライオン”がブラジルを脅かした。まずはエル・アイナウイのミドルシュートをアリソンが好セーブ。続いて、アユーブ・アマイムニのリバウンドに素早く反応し、至近距離での決定機を阻止。ブラジルは辛うじて敗戦を免れた。
ブラジルの次戦はブラジリア時間19日(金)21時30分(日本時間20日(土)9時30分)、フィラデルフィアのリンカーン・フィナンシャル・フィールドでのハイチ戦。一方、モロッコは同日19時(日本時間20日(土)7時)から、ボストンのジレット・スタジアムでスコットランドと対戦する。
(記事提供/Agência Brasil、構成/麻生雅人)




