ブラジル、日本の前半の善戦に苦しむも2–1で勝利 ラウンド16進出
2026年 06月 30日
ブラジルの“6度目の世界制覇”への夢は、2026年ワールドカップで生き続けている。6月29日(月)、ブラジル代表は米国ヒューストンで行われた“16分の1決勝”で日本を2–1で下し、ラウンド16進出を決めた。
前半は緊張感とパスミスが目立ち、日本の先制点につながった場面を含め、相手に主導権を握られる展開となった。しかし後半、カルロ・アンチェロッティ監督率いるブラジルは“サムライブルー”(日本代表の愛称)に圧力をかけ続け、粘り強く攻めた末に、アディショナルタイムに途中出場のFWガブリエウ・マルチネッリが劇的な決勝点を挙げ、勝利とラウンド16進出を手繰り寄せた。
ラウンド16では、ブラジルはノルウェー対コートジボワールの勝者を待つ。両国の対戦は30日(火)14時(ブラジリア時間/日本時間1日(水)2時)、米国ダラスで行われる。ラウンド16の試合は、5日(日)17時(ブラジリア時間/日本時間6日(月)5時)、ニュージャージーで開催される。

ブラジルでは、この試合は“手本“と“学び手”の対決としても注目されていた。日本は長年ブラジルをサッカーの最大の手本としてきた。フラメンゴやブラジル代表のアイドルであるジーコ、そして日本で長くプレーし帰化してアジア代表となったラモス瑠偉など、ブラジルの元選手は日本サッカーの発展に欠かせない存在だ。
その影響は文化にも及ぶ。1990年代後半にブラジルで大人気だったアニメ『スーペルカンペオンズ(キャプテン翼)』は、オリバー・ツバサの成長物語を描く作品で、彼は1975〜85年にサンパウロで育成からトップまでプレーした元日本人選手・水島武蔵をモデルにしている。作中では、ツバサが“トリコロール”を模した“ブランコス”という架空クラブでプレーする場面も登場する。
興味深いことに、『スーペルカンペオンズ(キャプテン翼)』の最終話は、2002年日韓ワールドカップの決勝(ブラジル対日本)をモチーフにしている。アニメ版では試合開始の笛で物語が終わり結末は描かれないが、漫画版では日本が勝利する。こうした背景から、ファンの間では今回の日本戦が“あの試合の続編”として語られていた。ブラジル人にとっては幸いにも、今回はブラジルが勝利した。
<45分間の悪夢>
24日(水)に米国マイアミで行われたスコットランド戦(3–0)と同じ先発で臨んだブラジルは、立ち上がりから主導権を握り、最初の15分間は日本をほぼ封じ込めた。12分、最初の決定機が訪れた。FWマテウス・クーニャがMFブルーノ・ギマランイスからペナルティエリア手前でパスを受け、左足に持ち替えて低いシュートを右隅へ放つ。GK鈴木彩艶が全身を伸ばして防いだ。
“サムライブルー”はブラジルの圧力に耐え、次第に試合を五分に戻した。前線からのプレッシングを強めた日本は、右サイドのダニーロのパスミスを見逃さず、先制点を奪った。28分、MF佐野海舟がボールを奪って中央を突破。イエローカードを受けていたMFカゼミーロとの競り合いを制し、右隅へ低いシュートを流し込んだ。
試合序盤のように日本のエリア付近まで近づけず、両翼のヴィニシウス・ジュニオールとハイアンも厳しくマークされ、ブラジルは相手守備を割る縦パスを通せなかった。焦りと単調さが目立ち、攻撃を早めようとしてはミスを重ね、逆に日本のパスワークに押し込まれる展開となった。
<空中戦と前進>
ブラジルは後半開始からMFルーカス・パケタに代えてFWエンドリッキを投入した。パケタは左太ももの痛みで交代を余儀なくされた。
後半の構図は明確だった。日本は自陣に引き、ブラジルは攻勢を強め、空中戦を軸に攻め立てた。6分、右サイドからダニーロがクロスを送り、ブルーノ・ギマランイスがヘディング。鈴木が好セーブで防いだ。8分にはハイアンのクロスから左サイドのDFドウグラス・サントスが折り返し、カゼミーロが押し込もうとしたが、DF冨安健洋がゴールライン上でクリアした。
その1分後、ブラジルの執念が実る。左サイドでヴィニシウス・ジュニオールからパスを受けたDFガブリエウ・マガリャンイスが正確なクロスを送り、カゼミーロがMF中村敬斗との空中戦を制してヘディングで同点にした。
同点で勢いづいたブラジルは、日本をさらに追い込んだ。12分、ヴィニシウス・ジュニオールが左サイドで冨安の股を抜き、エリア内へ侵入。佐野をかわして右足のトゥキックで放ったシュートは、惜しくも右ポストを叩いた。

<忍耐と報われた瞬間>
サイド攻撃が機能する中、アンチェロッティ監督はFWガブリエウ・マルチネッリを投入し、クーニャと交代させた。マルチネッリとヴィニシウス・ジュニオールは左サイドでローテーションし、一人はタッチライン際に張り、一人は内側に入りエンドリッキと連携した。
後半序盤の勢いは落ちたものの、ブラジルは攻撃的な陣形を保ち続けた。試合は“忍耐の時間”となり、ブラジルはボールを動かしながら、縦パス、シュート、クロスの最適なタイミングを探った。日本は明確にリアクティブな構えで、ブラジルのミスを待ち、奪った瞬間に速攻へ移る狙いだった。
試合は延長戦に向かう流れとなり、カゼミーロが痛みで交代(ファビーニョ投入)した直後、マルチネッリが輝いた。49分、ブルーノ・ギマランイスがハイアンからのパスを受け、マルチネッリをゴール前へ送り出す。背番号22は右足でクロス気味にシュート。ボールは左ポストに当たりながらゴールへ吸い込まれ、ヒューストンに集まった6万8千人の観客の大半を占めたブラジルサポーターの歓声が爆発した。
(記事提供/Agência Brasil、構成/麻生雅人)




