サッカー界は、ワールドカップ(W杯)を中心に4年サイクルで動く。
そんな4年サイクルの、日本代表にとって最初の動きが、キリンチャレンジカップ、キリンカップの4連戦として、日本国内で試合が行われた。
サイクルが新しくなると次の4年間を見据えて監督も変わることも多いが、来年1月のアジアカップまでは森保監督が継続する。その後はU21の現監督である大岩監督の就任が決まっている。
10月5日(月)、4連戦の最後の試合として、キリンカップ決勝の対ニュージーランド戦が国立競技場(MUFGスタジアム)で行われた。
日本代表の先発は以下のとおり。
GK鈴木彩艶、DFが右から中野、瀬古、伊藤、鈴木淳之介、2ボランチに佐野海舟、鎌田、2列目に堂安、久保、前田、1トップに上田という布陣。
現時点で、ほぼベストメンバーといってよいだろう。
驚いたのは、4バックにしてきたことだ。
久しぶりの4バックとなったが、選手たちはそれほど戸惑いを感じていないように見えた。うまく機能していたと思う。
通常3バックなら3枚で守るところを、格下相手ということもあり、今回は守備を主に両センターバック2枚で務めており、両サイドバックが攻撃参加できるので、分厚い攻撃を繰り広げていた。
特に、右サイドの堂安、久保、中野の連携が目立った。特に、いつもの3バック時より1列前のポジションでプレーした堂安の動きは積極的だった。最初のシュートも堂安だったし、この試合最も多くシュートを打ったのも5本を決めた堂安だった。
両センターバックからの対角のロングフィードのパスも目立ち、それがよく決まっていた。これには、瀬古、伊藤の能力の高さを改めて感じたところだ。試合後に瀬古から話が聞けたが、名波コーチからサイドチェンジを有効に使っていこう、との指示があったようだ。
試合は、開始早々から日本が圧倒し、数多くの決定的なチャンスをつくった。
ゴールだけが決まらないもどかしい時間が続いたが、28分にゴール前の混戦の中、上田が決めてくれた。上田の決定力には、目を見張るものがある。昨シーズンオランダリーグで得点王を取っておりW杯時にも感じていたが、特にこの4連戦で、決めるべき時に決められる力を見せつけてくれた。
しかし、その直後、カウンターからニュージーランドにゴールを決められてしまう。前田のバックパスをイングランド・プレミアリーグでも活躍するクリス・ウッドにインターセプトされ、そのままシュートまでいくかと思われたが、駆け上がってきたフリーの選手へのパスを選択し、ゴールを決められてしまった。
試合後に森保監督や選手たちも語っていたが、3バックだったら、防げた失点だったかもしれない。この失点は教訓にすべきであろう。
前半は、そのまま1-1で終了した。
ハーフタイムでの交代は両チームともになかった。
後半も前半同様に、日本は攻め続けるもなかなかゴールは奪えない展開が続いた。
そして、後半途中から選手交代で、布陣を少しずつ変えてきた。
最初の交代は、64分、中野、前田、久保に代え、伊東、中村、田中碧を投入した。そのままのポジションでの交代で、伊東が右サイドバックに入ったのはちょっとした驚きだった。
右に伊東、左に中村が入り、フレッシュということもあったとは思うが、より活性化された。伊東のサイドバックも十分に機能していた。
そんな中、71分に日本に待望の追加点が生まれた。中村からの低いクロスをこの日キャプテンで一番積極的に動いていた堂安が決めた。気持ちの入ったゴールだった。
そして畳みかけるように、74分には攻撃陣の見事な連携から最後は上田の完璧なゴール、かと思ったが、オフサイドでゴールは取り消しとなった。
77分には、鈴木淳之介、鎌田、上田に代わり、荒木、佐野航大、塩貝が入った。さらに87分には、佐野海舟、堂安に代わり、田中聡、松木玖生が投入された。
よくも悪くも注目されている塩貝は、ドリブルで運ぶ場面やボールを持つ場面もそれなりにあり、がむしゃらさは十分に伝わったが、結果には結びつけられなかった。
塩貝については、試合後の監督会見で森保監督も記者からの質問に対し「オフザボール時の状況判断は今一つだが、体にバネがあり相手と競り合える強さがあり、追加点を決めることを期待して投入した」と話しており、期待の大きさを感じた。
結局、2-1で日本が勝ち、この4連戦を4連勝で締めくくることができた。
FIFAランキング86位のニュージーランド相手に2-1での勝利では物足りない感じもするが、4バックという新しいオプションのテストもでき、勝ち切ったことは大きな成果だろう。
試合後、ミックスゾーンでは、キャプテンで積極的な動きが目立った堂安と、4試合すべてでほぼフル出場し守備の要となった感のある瀬古から話を聞くことができた。
堂安からは、キャプテンとして、そして背番号10の誇りを持ってプレーしていることがとても大きいことが感じられた。また、森保監督国内最後の試合で、自分がゴールを決めて勝つことができてとても嬉しいと素直に語っていた。サッカーに限らず往々にして役割が人を成長させるものだが、堂安についてはこの4連戦を通してすごく成長していることを感じた。
瀬古からは、出場機会を与えられていることについて、相当な自信につながっていることが強く感じられたが、そんな状況下でも、きちんと成果と課題についても自分自身で分析しており、これからとても楽しみな選手だと思った。
この4連戦の成果としては、まずは、何といっても、4連戦すべてで勝ったことだ。FIFAランキングで対戦相手すべてが日本より下だったとはいえ、ウルグアイ、エクアドルといった南米のW杯常連国相手に勝ち切ったことはとても大きいことだと思う。また、過去のW杯で何度となく苦杯をなめてきたPK戦を経験でき勝利できたことも成功体験としてとても大きかったことだろう。
そして、4バックを実践で試すことができたことだ。3バック中心で行くとしても、攻撃に厚みを持たせられる4バックも機能することがわかり、新しいオプションができたことは大きな成果だろう。
日本代表の次の試合は、11月にシンガポールで行われるブラジル、パラグアイとの2連戦となる。これが、森保ジャパンの集大成となるアジアカップ前の最後の実践となる。
特に、ブラジル代表は、ここ数年、数多くマッチメイクされており、昨年10月には初めて勝つことができたが、6月のW杯では、あと一歩のところで悔しい敗戦を味わった因縁の相手である。
名将アンチェロッティ監督の指揮で臨み期待されたW杯ではベスト16と結果を出すことができなかったブラジル代表。ブラジル国民からも賛否両論ある中、アンチェロッティ続投が決まり、今回の9~10月に、新生ブラジル代表として、親善試合3試合を行った。かなりの格下インド相手には4-0と快勝したが、オーストラリアとの2連戦を1勝1分けという結果に終わり、決して状態がよいとはいえない。
しかしながら、そうはいってもFIFAランキング5位の世界の強国であることは間違いないだろう。現時点での力量を試すにはもってこいの対戦相手だ。
日本代表とブラジル代表との試合を楽しみにしつつ、アジアカップ制覇に向けて、これからの日本代表には注目し続けていきたい。
(文/コウトク)




