コンテスト形式で行われるリオのカーニバル、2014年も開幕

2014年 03月 2日

エンシーマダオーラ

リオのカーニバル期間中、リオデジャネイロの街中は、ブロコとよばれるさまざまなグループが仮装をしたり音楽を演奏して賑わいますが、世界中で良く知られている、いわゆる”リオのカーニバル”は、Marquês de Sapucaí マルケス・ヂ・サプカイ通りに作られたサンバパレードのための会場、Sambódromo da Marquês de Sapucaí サンボードロモ・ダ・マルケス・ヂ・サプカイ、通称サンボードロモ(通りの名前をとってサプカイの名でよばれることもあります)で行われる行進です。

ちなみに、カーニバルは、街角や路上で行われる民衆のカーニバルも、サンボードロモで行われる行進も、リオだけではなくブラジル各地にあり、特に路上のカーニバルに関してはご当地文化が反映していて、各地方で個性的な行事が行われます。サンボードロモもサンパウロ市、ヴィトーリア市(エスピリットサント州)などいくつかの都市にあり、各地でサンバパレードが開催されます。

emcima4

このサンバパレードには、エスコーラ・ヂ・サンバと呼ばれるサンバを軸に集う地域コミュニティ団体が、各々精鋭部隊を中心に編成した大人数のチームで参加。コンテスト形式で順位を競い合います。

採点の基準は、リオデジャネイロの場合は10項目となっています。「Alegorias e Adereços アレゴリアス・イ・アデレッソス」行進に登場する山車と装飾/「Bateria バテリア」と呼ばれる打楽器隊の演奏/「Comissão de Frente コミサォン・ヂ・フレンチ」行進の先頭の部隊/「Conjunto コンジュント」グループ全体の総合評価/「Enredo エンヘード」と呼ばれる行進のテーマ/「Evolução エヴォルサォン」進行のスムーズさ/「ファンタジアス」衣裳/「Harmonia アルモニーア」音楽面での調和/「Mestre-Sala e Porta-Bandeira メストリ・サラ・イ・ポルタ・バンデイラ」チームの旗を持つ女性とエスコートする男性のコンビ/「Samba de Enredo サンバ・ヂ・エンヘード」と呼ばれる、そのグループ「エンヘード」を反映した行進の曲が、評価の対象となります。

emcima3

また、採点では技術点はもちろんのこと、人数や使用できる楽器、時間など、厳しく定めらている規定に適っているかどうかも重要なポイントとなります。採点で最高得点を獲得したチームがその年の優勝チームに選ばれます。

パレードに参加するエスコーラ・ヂ・サンバのグループは、サッカーがリーグで分かれているように、Grupo Especial グルーポ・エスペシアウ(スペシャル・チーム、いわゆる1軍)、Série A セリエ・アー(Aグループ、いわゆる2軍)というように分かれています。そして、その年のエスペシアウの下位チームと、セリエ・アーの上位チームで入れ替えがあるため、参加するひとたちはみな楽しみながらも、真剣に取り組んでいます。

グルーポ・エスペシアウはLiga Independente das Escolas de Samba エスコーラ・ヂ・サンバ独立リーグ(LIESA)の、セリエ・アーはLiga das Escolas de Samba do Rio de Janeiro リオデジャネイロ・エスコーラ・ヂ・サンバリーグ(LIERJ)の所属となります。※LIERJは2012年までLiga das Escolas de Samba do Grupo de Acesso (LESGA)。2014年はLIESAのグルーポ・エスペシアウは12チーム、LIERJのセリエ・アーには17チームが所属しています。

パレードを行う日も、所属するグループによって異なります。今年のリオでは、セリエ・アーの17チームは2月28日(金)の夜から3月1日(土)、グルーポ・エスペシアウは3月2日(日)と3月3日(月)、そしてEscolas de Samba Mirim エスコーラ・ヂ・サンバ・ミリン(子供や若者だけのチーム)が3月4日(火)にパレードを行います。世界中で注目される、いわゆる”リオのカーニバル”は、このうちグルーポ・エスペシアウが行う2日間のパレードを指していることもあるようです。

emcima5

ではセリエ・アーのチームは、単に技術や規模でエスペシアウのグループに劣っているだけかといえば、そのようなことはないようです。ジャーナリストのヴラヂミール・プラトノウ氏によると、セリエ・アーのグループたちは純粋に地元コミュニティの人々だけで構成されていることが多く、皆が心をひとつにして歌い、演奏する姿が見られると語っています。

そして、今年もカーニバルは始まりました。3月1日付け「アジェンシア・ブラジル」がレポートしています。

28日には、トップバッターのEm Cima da Hora エン・シーマ・ダ・オーラが、同チームが1976年に演奏した看板曲「 Os Sertões オス・セルトンイス」のリメイクを披露しました。

セルタォンと呼ばれる北東部の干ばつ地帯を描いたEuclides da Cunha エウクリデス・ダ・クーニャの文学作品を題材にしたテーマに合わせて、セルタォンの人々、土地に根付く粘土人形、ジュアゼイロ・ド・ノルチを中心に信仰されるシセロ神父などがアレゴリアや衣装でも表現されました。

emcima1

この日、サンボードロモで行進を行ったのはセリエ・アーの8チーム。

1 – Em Cima da Hora エン・シーマ・ダ・アオーラ
Enredo: Os sertões
Carnavalesco Marco Antônio

2 – União de Jacarepaguá ウニアォン・ヂ・ジャカレパグア
Enredo: Os Iorubás – A história do povo nagô
Carnavalesco Jorge Caribé

3 – Acadêmicos da Rocinha アカデミコス・ダ・ホッシーニャ
Enredo: Do paraíso sonhado um sonho realizado…
Carnavalesco Luiz Carlos Bruno

4 – Renascer de Jacarepaguá ヘナッセール・ヂ・ジャカレパグア
Enredo: Olhar caricato. Simplesmente, Lan!
Carnavalesco Marcus Ferreira

5 – Unidos do Porto da Pedra ウニードス・ド・ポルト・ダ・ペドラ
Enredo: Majestades do Samba: os defensores do meu pavilhão!
Carnavalesco Leandro Valente

6 – Paraíso do Tuiuti パライーゾ・ド・トゥイウチ
Enredo: Kizomba – A festa da raça
Carnavalesco Severo Luzardo

7 – Inocentes de Belford Roxo イノセンチス・ヂ・ベウフォルヂ・ホッショ
Enredo: O triunfo da América – o canto lírico de Joaquina Lapinha
Carnavalesco Wagner Gonçalves

8 – Império Serrano インペリオ・セハーノ
Enredo> Angra com os Reis
Carnavalesco Eduardo Gonçalves

3月1日(土)にもセリエ・アーの9チームが行進を行います。

1 – Tradição トラヂサォン
Enredo:Sonhar com rei dá leão!
Carnavalesco: Orlando Júnior

2 – Alegria da Zona Sul アレグリア・ダ・ゾナ・スウ
Enredo: Sacopenapã
Carnavalesco: André Tabuquine e Eduardo Minucci

3 – União do Parque Curicica ウニアォン・ド・パルキ・クリシカ
Enredo: Na garrafa, no barril, salve a cachaça, patrimônio cultural do Brasil
Carnavalesco: Mauro Quintaes

4 – Caprichosos de Pilares カプリショーゾス・ヂ・ピラーリス
Enredo: Dos malandros e das madames: Lapa, a estrela da noite carioca
Carnavalesco: Amauri Santos

5 – Unidos do Viradouro ウニードス・ド・ヴィラドウロ
Enredo: Sou a terra de Ismael. Guanabaran vou cruzar, para você tiro o chapéu, Rio eu vim te abraçar
Carnavalesco: João Victor Araújo
L S.

6 – Estácio de Sá エスタシオ・ヂ・サー
Enredo: Um Rio à beira-mar: ventos do passado em direção ao futuro!
Carnavalesco: Jack Vasconcelos

7 – Acadêmicos de Santa Cruz アカデニコス・ヂ・サンタ・クルース
Enredo:Do toque do criador à cidade saudável do Brasil – Jundiaí, uma referência nacional
Carnavalesco: Comissão de Carnaval

8 – Unidos de Padre Miguel ウニードス・ヂ・パードリ・ミゲウ
Enredo: Decifra-me ou te devoro: enigmas da vida!
Carnavalesco: Edson Pereira

9 – Acadêmicos do Cubango アカデミコス・ド・クバンゴ
Enredo: Continente Negro – uma epopeia africana
Carnavalesco: Marcio Puluker

(文/麻生雅人、写真/Fernando Frazão/Agência Brasil)
写真は28日、夜に行進したエン・シーマ・ダ・オーラ