「どうしたブラジル!  チリ、素晴らしい戦い、おめでとう!」

2014年 06月 29日

涙のネイマール

ネイマールのPKは何度も見てきている。2010年、サントスで駆け出しの頃はそれこそ本当によく失敗していた。パラジーニャといって、蹴る直前に動きを止めてGKの動きを見てから蹴ったりしたりしていた。ネイマールのパラジーニャが原因で、FIFAからパラジーニャが禁止される事態にも発展したりしていた。

そんなネイマールだが、2011年を境に必ずと言っていいほどPKを決めるようになっていた。だから、この最高にプレッシャーがかかる場面でも絶対に決めると思っていた。

さすがエースだ。さすがネイマールだ。その通りにきちんと決めてくれた。

そして、チリはゴールポストに弾かれ、ブラジルの勝利が決まったのだった。

とりあえず、ブラジルの戦いがまだ続いてくれることになり、本当によかったと思った。

ネイマールは泣いていた。それはそうだろう。こんなに早く終わってしまうわけにはいかないだろう。

それにしても、チリの戦いぶりは素晴らしかった。これだけ激しいプレッシングサッカーを終盤まで続けることができ、ブラジルを相当に苦しめた。この戦いぶりにはあっぱれだ。この試合を見て、チリの戦い方は日本代表にも参考になるのではないか、と思わされた。

明日のブラジルの新聞の一面が目に浮かぶ。

”Puxa Brasil! Parabens Chile, muito bom jogo!”(どうしたブラジル! チリ、素晴らしい戦い、おめでとう!)といった感じだろうか。

それにしても、地元ブラジルにとっても、私個人にとっても、楽しみが続いてくれることになり本当によかったと思った。

しかし、次も大変な戦いになるだろう。次の相手はウルグアイを破ったコロンビアである。今回のコロンビアはとても強い。10番のハメス・ロドリゲスはとんでもない選手だ。ネイマールを上回るほどのクラッキに思える。

1回死にかけたブラジルだが、戦いを進めることが許されたのだ。

そんなブラジルには、もう一度、フィジカル、メンタル両面をリフレッシュさせて、素晴らしい戦いを見せてほしい。そして勝ち進んでほしいと思うのである。

(文/コウトク、写真/Marcello Casal Jr/Agência Brasil)
6月28日、ミネイラォン。勝利後、涙するネイマール

著者紹介

コウトク

2005年6月~2012年6月まで仕事の関係で、ブラジルに在住。ブラジル在住当時は、サッカー観戦に興じる。サントス戦については、生観戦、TV観戦問わずほぼ全試合を見ていた。
2007年5月のサンパウロ選手権と2010年8月のブラジル杯のサントス優勝の瞬間をスタジアムで体感。また、2011年6月のリベルタドーレス杯制覇時は、スタジアム近くのBarで、大勢のサンチスタと共にTV観戦し、優勝の喜びを味わった。

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