ブラジル、失望多きゆく年と、課題だらけの来る年

2014年 12月 28日

エドゥアルド・カンポス

元ペルナンブッコ州知事で第3位候補だったカンポス氏は、経済界の支持が高く、中間層以下に人気のあるマリーナ女史を副大統領候補に据えて選挙を戦っていたが、乗り込んだ小型飛行機が選挙活動中に墜落し、死亡。急きょマリーナ氏が候補に立ち、弔い合戦となり一時はジルマ・ルセル現大統領に迫る勢いがあったが、終盤のネガティブキャンペーンで失速。連立与党と最大野党の一騎打ちとなった。

現職有利に進む中で、国営石油公社ペトロブラスを舞台にした連立与党全体を巻き込んだ贈収賄事件が発覚。これで与党は終わりかと思ったが、ニュースや新聞を見ない多くの低所得層へのばらまき政策が功を奏し、大統領選挙戦史上まれにみる僅差で現職が再選された。

大統領も社会政策を第一と叫んで再選を果たしたが、国民の半分を敵に回してあと4年間の政権運営は難しいと考え、再選後は経済重視に舵を切り、対立候補が挙げていた民間人を取り込んだ新しい財務、企画、開発商工大臣を先日発表した(次ページへつづく)。

(文/輿石信男/クォンタム、記事提供/モーニングスター、写真/Chico Peixoto/Fotos Públicas)
写真は8月17日、ペルナンブッコ州ヘシーフィ市。事故で他界したエドゥアルド・カンポス氏が埋葬された