ブラジルの国民的人気歌手チン・マイアの伝記映画の再編集版、テレビで放送。未公開映像も追加

2015年 01月 2日

チン・マイア映画

カルロス曰く、「実際には存在しない”ジャナイーナ”と呼ばれる女性を演じる美しいアリーニ・モライスをはじめとしてフィクションの部分が多く、その分描かれていない事実が多く、怒りを感じます」。

ネウソン・モッタの「ヴァーリ・トゥード」でも、チンの義理の息子を生む女性はゲイザという名前だが、カルロス・カジュエイロも「チン・マイアが自身の子どもとして登録するレオ・マイアことマルコス・レオナルドの母親はゲイザ」であることや、「チンには行動を共にした大勢の仲間がいたにもかかわらず、映画ではその中の一人ファビオしか登場しない」という点を指摘している。

カルロス・カジュエイロはまた、チン・マイアのバンド、ヴィトーリア・へジアで長年活動してチン・マイアとは公私に渡り親密だった父ベト・カジュエイロや、やはりチンと長い付き合いのイウドン、カッシアーノ、パウリーニョ・ギターハなどが登場しないことにも異議を唱えている。

この点は、チン・マイアと親しかった他の音楽家からも指摘されている。やはりチンと親しかったイウドンもまた映画に疑問を呈している。こちらは2014年11月6日に「UOL」がインタビューを報じた。

イウドンは、約2時間でひとりの男の人生を凝縮して描くことの難しさは理解しているとしながら、それにしても事実と異なることが多いと語る。

「チンは非常にいいやつで、愛情深いやつだった。基本的にはおとなしい男で、そしてユーモアたっぷりだった。ドラッグ漬けになる前の、チンのそんな姿が描かれていない。確かにドラッグには手を出したし暴れたこともあったが、彼の人生は決してそれだけではない」(イウドン)

「約40人の子どもがいる孤児院を支援していたことや、犬が大好きでかわいがっていたことも描かれていません。なにより、大いなるユーモアのセンスの持ち主だったことがまったく描かれていない」(イウドン)

またイウドンは、暴力的な描写にも異議を唱えている。

「チンが銃を手にしたことなんて一度も見たことがない。彼は女性に手をあげたこともない」(イウドン)

ブラジル中で、社会的階層を超えて国民的人気を博したチン・マイアの人柄に関しては事実に近い描かれ方とはいえなさそうだが、ブラジルを代表する歌手の一人チン・マイアの残した名曲の数々が聞けることは確かだ。

(文/麻生雅人、写真/Divulgação)
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