サンパウロ市でバス、地下鉄、電車が値上げに。新たな抗議デモの予告も

2015年 01月 6日

バス料金 サンパウロ

値上げが行われる一方、学生には優遇措置が設けられる。

公立の学校や大学、全国民向け大学教育提供プログラム(ProUni)、学生援助基金(Fies)やその他の奨学金システムの利用者はサンパウリ市内のバス運賃が無料となる予定。ただし、この無料システムは議会の承認がまだなので、実施開始日はまだ未定とのこと。さらに州政府もまた、公立の学校や大学、サンパウロ州立職業訓練学校(Etec)の学生への優遇措置を行う予定だが、こちらも実施は議会の承認後となる。

ところで、公共料金の値上げというと、思い起こされるのは2013年の全国規模の大規模抗議デモだ。

サンパウロの州政府と市政府が公共料金運賃を3.20ヘアイスに値上げすることを発表、これが、運賃の無料化を求める学生や社会運動家による抗議デモの引き金となった。

デモは運賃値上げから端を発し、政府のインフレ対策への不満、蔓延する汚職や不正、教育や病院を含む公共サービスの慢性的な質の悪さ、ワールドカップに投じられた巨額資金の不透明さなど、社会不公正全般にまで拡大して、幅広い立場の国民が関わる全国的な大規模抗議運動へと発展した。2013年の時点では、デモを受けて政府は値上げを撤回、3ヘアイス(レアル)に運賃を据え置いた。

今回の値上げ発表を受けて社会活動団体のフリーパス運動(MPL)は改めて抗議デモを予定している。デモは1月9日(金)、サンパウロ市旧市街区(セントロ)のテアトロ・ムニシパウ(市立劇場)前に17時に集合して行われる予定だという。

(文/麻生雅人、写真/Rafael Neddermeyer/Fotos Publicas)

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