大統領候補が死亡した飛行機墜落事故原因、調査結果公表へ

2015年 01月 16日

エドゥアルド・カンポス 死因

昨年(2014年)8月、大統領選キャンペーン中に死去したエドゥアルド・カンポス氏(ブラジル社会党:PSB)の搭乗機墜落の原因は、操縦士の過失が重なった結果との調査結果がまとまったようだ。16日付「エスタード」紙が報じている。

カンポス氏を乗せた小型機「セスナ560XL」は、14年8月13日午前9時21分にリオのサントス・ドゥモン空港を飛び立ち、サンパウロ州サントスに向かったが、午前10時頃、サントス市ヴァイア・デ・アブレウ通りに墜落し、乗っていた7人全員が死亡、現場周辺にいた10人が負傷する惨事となった。

セスナ機墜落の原因調査は、航空事故調査防止センター(Cenipa)が5カ月間にわたって行った。最終報告(が提出されるの)は2月はじめの予定だが、16日付エスタード紙がいち早くその概容を報じた。

それによると、この事故は操縦士のマルコス・マルチンス氏の過失が重なったことが原因で起きたとされている。

同紙によると、「セスナ560XL」の機体や機器類には何の異常もなく、2機のタービンも完璧な状態だった。ただ、飛行機内の録音機はスイッチが入っておらず、操縦士と副操縦士の会話は録音されていない。

一方、マルチンス操縦士の経歴を調べた結果、比較的新型のセスナ機である560XLの操縦訓練は、シミュレーターも含めて、皆無であったことがわかった。

更に、同セスナ機の操縦マニュアルを十分に読んでいなかったのか、機体の上げ下げや平衡バランスの保ち方など、基本的な操縦を把握していなかったのではないかと推測されている。例えば、ブレーキをかけるのに使うフラップを再上昇の際に収納するか否かはその時のスピードに応じて判断しなければならず、高速時に収納すれば、目撃証言での事故機や急激に強くブレーキをかけた時と同様、頭から地面に突っ込む可能性がある。

また、同操縦士はサントス空軍基地の離着陸マニュアルにある着陸操作に従っておらず、サントス基地への着陸を見合わせて着陸復行(再上昇して再着陸を試みること)を行おうとした際、通常勧められているものとは全く違う旋回ルートをとっている。

また、同操縦士と、副操縦士のジェラウド・マジェラ・バルボーザ副操縦士との関係も良好ではなかった。同副操縦士はマルチンス氏との仕事からはずしてもらうよう頼んでおり、事故前もネット上に「疲れた」と記載している。

こうした操縦士側の悪条件の上に、事故当日は強い雨が降っていたなどの気候上の悪条件も加わり、惨事につながったのではないかとCenipaはとらえている。

カンポス氏の死亡事故は一次投票まで2カ月を切った状況で起き、様々な憶測を呼んだ。事故機に同乗するはずだったマリーナ・シウヴァ氏が事故後にPSBの候補に昇格したことでマリーナ氏が疑われたし、同機の所有者が不明で、PSBからある人物に賄賂が支払われていたのではないかともいわれた。

(記事提供/ニッケイ新聞、写真/PSB)
写真は生前のエドゥアルド・カンポス氏(右)。左はマリーナ・シウヴァ氏。2014年7月18日、大統領選キャンペーンで訪れたセアラー州クラート氏の産業見本市会場にて