ある日突然、密林のど真ん中に放りだされた気分を味わえる!? 映画「アマゾン大冒険~世界最大のジャングルを探検しよう!~」
2015年 01月 17日この映画でティエリー・ラゴベール監督は、一匹の子ザルを主人公にした物語を用意している。敢えてドキュメンタリーという手法をとらなかったという。
「アマゾン大冒険 ~世界最大のジャングルを探検しよう!~」は、都会で生まれ育った一匹の子ざるが、ひょんなことからアマゾンの熱帯雨林のど真ん中に放り出されるところからはじまる。
ジャングルのことなど右も左もわからない子ざるの目を通してアマゾンを描いているため、観客も彼と同じように、未知のジャングルの中に放り出された状況を疑似体験できるというわけだ。
そして次々と登場する動物、植物、昆虫たちは、決してテレビのドキュメンタリー番組では味わえないリアルな映像美で迫り、美しくもあり、恐ろしくもある。
映画に登場する野生生物は、動物では、アカハナグマ、アナグマ、オオアリクイ、ミユビナマケモノ、オオアルマジロ、ペッカリー(イノシシの仲間)、アメリカバク、オンサ(ジャガー)、アマゾンカワイルカなど。
爬虫類、両生類ではカイマン(ワニ)、アナコンダ、サンゴパイプヘビ、マタマタ(岩や枯葉に擬態したカメ)、ガラスガエルなど。
鳥類では、トゥッカーノ(シロムネオオハシ)、オウギワシ、トキイロコンドル、ルリコンゴウインコ、アララ・アズウ(スミレコンゴウインコ)、ベージャフロール(ハチドリ)、メガネフクロウなど。
昆虫では、クジャクキリギリス、モルフォチョウ、アマガエルモドキなど。
さるの仲間ではウォーリーモンキー、アカウアカリ、ヨザル、クロクモザル、そして映画の主役の子ざるの仲間フサオマキザルなど。
映画の中でジャングルに取り残された子ざるは、次々と生き物や植物と出会う中で、敵や、危害を加えない生き物が存在すること、食べられるものと食べられないものがあることなどを学んでいく。
文明社会で生まれ育った動物が、アマゾンの大自然の中で自然の掟を学び、やがて自分と同じ種の仲間たちと出会い野性を取り戻していくというストーリーだけみれば、アララ・アズウ(スミレコンゴウインコ)を主人公にしたアニメ「RIO(「「ブルー はじめての空へ」」)」のパート2「RIO 2」と同じだ。いわゆる通過儀礼のストーリーの類型だ。
しかし、人間(異文化)との共存を理想的に描くブルースカイ・スタジオのアニメとは異なり、ティエリー・ラゴベール監督の視点はあくまでリアルにアマゾンの姿を映し出すことだった。
物語仕立てて映画は進行するが、登場する生き物たちは必要以上に擬人化はされておらず、ありのままの姿で登場する。その結果観客は、さまざまな生き物たちががアマゾンの森の中というひとつの生態系の連鎖の中で生きていることを、ごく自然に感じさせられる(次ページへつづく)。
(文/麻生雅人、写真/(C) 2013 BILOBA Films – GULLANE – GEDEON Programmes – France 2 Cinema – GLOBO Filmes – IMOVISION – LE PACTE)
映画「アマゾン大冒険 ~世界最大のジャングルを探検しよう!~」(配給/クロックワークス)は1月17日(土)より角川シネマ新宿、全国イオンシネマ(一部劇場除く)ほかにて全国ロードショー