消えゆく先住民族文化。15年後には先住民族言語の30%が消滅か

2015年 01月 18日

先住民族伝統競技大会

ブラジルの母国で生まれた特別な言語を研究するグループのコーディネーターでもある、サンパウロ州立カンピーナス大学(UNICAMP)の言語学者ヴィウマール・ダ・ホッシャ・ダンジェリス教授もまた、この先、先住民族の言語は絶滅する可能性があると考えている。

ヴィウマール教授の研究によると、この先40年で、少なくとも40の言語が失われるという。

「言語学者として、これらの言語が失われることを知りながら調査をすることは嬉しいことではありません。なんとか存続して欲しいと願っていますが、力及ばず、どうにもならないのが現実です。今後40年間で1年にひとつの言語が消えていくでしょう」(ヴィウマール・ダ・ホッシャ・ダンジェリス教授)

ブラジルの先住民族が話す言語の種類は、言語上の境界が常に変動して、自らも変化するため、文法的、言語的、あるいは政治的といったさまざまな基準によっても、(定義づけるための)条件は異なる。ヴィウマール教授は、ブラジルには150~160種の言語が存在していると推測する。

ブラジリア大学(UnB)の先住民族言語と文化研究所のサイトには、190の言語がリストアップされている。

また、現在、世界で話されている言語のデータベースとして知られる「エスノローグ」によると、ブラジルで現在話されている先住民族の言語は約170だとしている。

そしてこれら約170のうち、37の言語に関してはスピーカーが高齢化しており、話される機会は稀で、ほぼ絶滅していると考えても良い状態だという。23の言語は最年長の層のみによって話されているのみなので瀕死状態にあるといえるが、それでも彼らの日常生活の中で未だ話されている。

これら瀕死といえる60の言語を除く約110の言語は、若い世代によって今なお使われているが、スピーカーは非常に少ないということを考慮しなければならない。ヴィウマール教授によると、そのうち100の言語に関しては、スピーカーは1000人に満たないという。

ヴィウマール教授はまた、この500年の間に、約1000の先住民族の言語が消えてしまっていると指摘する。

「圧倒的に多くのケースでは、スピーカーのいる部族ごと、つまり先住民族自身の消滅と共に、言語も消滅しています。マットグロッソドスウ州やホンドニア州のような場所やアマゾニア州のいくつかの地域でこうした部族は存続していますが、集団殺害を含む暴力にさらされています」(ヴィウマール・ダ・ホッシャ・ダンジェリス教授)

しかしヴィウマール教授は、今日のブラジルでは言語の消滅は部族が消滅しなくても進んでいると指摘する。

「今日のブラジルでは、スピーカー自体が絶滅しなくても、言語は失われつつあります。先住民族の人々が学校に通うようになり、先住民族ではない人々と共に働いたり社会プログラムに参加するようになっています。あらゆる集落ではテレビも見られます。こういった生活の変化が大きな影響を及ぼしています」(ヴィウマール教授)

アマゾナス州ネグロ川先住民族連合のイザイアス・ペレイラ代表は、先住民族が自分たちの言語を失った時点で、彼ら自身の大切な文化を失うことになると指摘する。

「ブラジルが”発見”され、植民地化がはじまった時から、私たちの大切な文化は失われ続けてきました。私たち自身の文化、私たち自身の言葉を保ち続けるために、私たちは戦い続ける必要があります」(イザイアス・ペレイラ代表)

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(記事提供/Agência Brasil、写真/Sidney Oliveira/AG. PARÁ (04/09/2014))
写真は2014年9月5日、パラー州で行われた第4回先住民族伝統競技大会にて