ブラジルを代表するデザイナーの一人JUM NAKAOさん、「麻世妙」を使ったウェディングドレスを制作

2015年 06月 8日

ジュン・ナカオ

ブラジルを代表するファッションデザイナーのひとり、JUM NAKAO(ジュン・ナカオ)は1966年、サンパウロ生まれの日系3世。若いころはエレクトロニクスやコンピュータの分野にも大きな興味があったという。

1984年に繊維工業振興会(CIT)のコースで修行、ステュディオ・ベルソーのマリー・ルッキなどに師事したという。

ブラジルで国内のファッション業界が盛り上がり、現在のサンパウロ・ファッション・ウィーク(SPFW)の前身ともいえるモルンビー・ファッションなどのイベントが開催されるようになるのは1990年代のこと。それに先駆け、1987年、JUM NAKAOはヴァウテル・ホドリゲス&コンラード・セグレットによるイベント、コーぺラチーバ・ダ・モーダに参加した。

1988年、アルマンド・アウヴァリス・ペンテアード大学(FAAP)の美術学科を卒業。1989年、サンパウロ美術館学研究所で服飾の歴史を、職業訓練&技術学校(セナッキ)でセラフィナ・ド・ボルジェス・ド・アマラウに師事、ファッション史を学んだ。

1996年、ブラジルにおける先駆的なファッションイベントのひとつ、フェイトエルヴァス・ファッションに参加して注目を集め、その後ジーンズで有名なブランド「ズーンプ」で6年働いた。またフェイトエルヴァス・ファッションには1998年、2000年にも参加している。

2004年にサンパウロ・ファッション・ウィークで披露したショー「ア・コストラ・ド・インヴィジヴェウ」では映画やアニメーションをはじめ多様な文化からインスピレーションを受けた紙製のウェアを披露して話題を集めた。

ファッションのみならず、建築、グラフィックデザイン、舞台美術など多方面で活躍、パリやミラノのギャラリーなどでも展覧会が開催されている。

2012年にはロンドンオリンピック・パラリンピック閉会式にて、次期(2016年)開催国の告知フェスティバルのデザイン責任者を務めた。

2014年には、舞台女優としても活躍する歌手ハイッサ・ビタールのCD「マテリア・エステラール」のアートディレクションも手掛けている。

ジュン・ナカオ

今回、伊勢丹新宿店で開催されているブラジルウィーク「BRASIL FANTÁSTICO! 祝彩楽園 ブラジル」にも参加。6月3日に開催されたオープニングレセプションにも参列した。

「私、Jum Nakao(ジュン・ナカオ)はデザイナー、アーティストとして、”モノ”を作り上げていくというよりは、人々の想いや絆を作り上げていると思っています。2012年のロンドンオリンピック・パラリンピック閉会式では、次回開催地であるリオデジャネイロの紹介をするセレモニーを手掛けてましたが、残念ながら2016年のリオの開会式への参加は断念しました。しかし、今回、こうして伊勢丹さんの企画に参加することができ、また、2020年の東京オリンピック・パラリンピックのセレモニーのお手伝いができることを光栄に思っています」(Jum Nakao(ジュン・ナカオ))

「私が一番大切に思っているのは、人と人との絆です。絆は、遠いところにある国同士、人と企業、そして人と人を結びつけてくれます。これからも私は絆を大切にして仕事をしていきたいと思います」(Jum Nakao(ジュン・ナカオ))

「BRASIL FANTÁSTICO! 祝彩楽園 ブラジル」では、日本の独自素材である麻世妙(まよたえ。古代の日本では生活に欠かせない素材だったという「大麻布」に再アプローチして作られた、強靭ながらもやわらかく、保湿性に優れた素材)を使った、日本人女性のための1点もののウェディングドレスを3型制作した。新宿店本館3階ウェストパークにて販売(9日(水)まで)。

「ブラジル・ファンタスチコ! 祝祭楽園ブラジル」
伊勢丹新宿店 本館・メンズ館 各階 6月3日(水)~9日(火)
日本橋三越本店 本館・新館 各回 6月10日(水)~16日(火)
銀座三越 9Fテラス/テラスコート 7月15日(水)~21日(火)

詳細は特設サイトを参照。ブラジル文化や、ブラジルの「今」を紹介するWEBマガジン「A Boa Vida」もサイト内で公開中。

(写真・文/麻生雅人)
写真下、左からジュン・ナカオ氏、アンドレ・コヘア・ド・ラーゴ駐日ブラジル大使、アマンダさん