ブラジルの食糧パワー~最新大豆事情
2015年 07月 12日世界の旺盛な飼料需要及び可食油需要に牽引され、ブラジル大豆生産量はこの約20年間で3倍以上に増加、2014/15 年度の世界大豆生産量は3 億1,506万トンに達する見通しである。その中でブラジルは世界第2位となる9,450万トンを生産する見通しであり、世界最大の産地国である米国の生産量(1億801万トン)に迫る勢いで台頭している。
全世界における米国の大豆生産シェアは1990年代までは50%超、2000年代初頭は40%超であったが、ブラジルの生産量増加により米国産のシェアは年々減少。大きな転機となったのは米国が大旱魃に見舞われた2012/13年度、米国産大豆生産量が8,279万トン(シェア30.8%)、輸出量3,585万トンまで落ち込んだのに対して、ブラジル産大豆は生産量8,200トン(シェア30.5%)、輸出量4,190万トンとシェアを大きく拡大し、大豆一大生産・輸出国としての地位を確立した。
主なブラジル産大豆の輸出仕向け国は中国(約70%)、スペイン、タイ等であるが、日本も年間約50万トンを輸入する重要な仕向け国である。輸出港としては南東部のパラナグア港、サントス港、サンフランシスコドスル(サンフランシスコドスウ)港が中心となる。南半球に位置するブラジルでは、北半球では大豆の収穫期である10~12月が播種期、端境期である2~4 月が収穫期にあたる。
主な生産地域はパラナ州、マットグロッソ州、マットグロッソドスル(マットグロッソドスウ)州、リオグランデドスル(リオグランジドスウ)州、ゴイアス州等であり、この5州で生産の約7割を占める。生産地が内陸中西部に拡大しており、生産地から輸出港までの長距離輸送の大部分をトラックに依存し、物流コストが高いという問題点を抱えるが、近年は港湾インフラの整備等も含め改善傾向にある(次ページへつづく)。
(文/富倉昌弘、記事提供/ブラジル特報(日本ブラジル中央協会)、写真/APPA)
写真は大豆の主な輸出港のひとつ、パラナ州パラナグア港