人気シンガーソングライターのマリア・ガドゥ、リオで早業の”急停車強盗”に襲われる

2015年 10月 27日

マリア・ガドゥ

10月24日(土)、リオデジャネイロ市の南部(ゾナスウ)にあるラランジェイラス地区で、人気シンガーソングライターのマリア・ガドゥと、同行していたミュージシャン3名が強盗に襲われた。「グローボ・ニュース」が伝えたほか、「G1」、「ヴェージャ」(10月25日づけ)などが報じている。

マリア・ガドゥは2009年にメジャーデビューを果たすや国内外で人気を博しているシンガーソングライター。2010年にはラテングラミーで新人賞などにノミネートされた。2011年にはカエターノ・ヴェローゾとのデュオライブを敢行するなど、アーティストからの評価も高い。

記事によれば、一行は2台の自家用車でサンパウロへ戻る道中、夕方17時半ごろアリシ通りで、銃で武装した4人の強盗に出くわした。車から出て地面に横たわるよう強制されたという。

犯人たちは、携帯電話、時計、バッグ、財布、衣類、コンピュータ、バンドの楽器(チェロとベース)を持ち去っていったという。サンパウロ在住のマリア・ガドゥは滞在先のリオで、着ていた服のみを残されて放り出される形となった。

「得も言われぬ体験でした。私の命の綱が切れる寸前に感じました。犯人がもしキレていたらおしまいだったでしょう」(マリア・ガドゥ)

2台に連なって走っていたマリアたち一行のうち、前の車にはベース奏者のランカスター・ピントたち、後続車にはマリア・ガドゥたちが乗っていた。犯人たちの車はランカスターたちの車の前で急停車して、2台の車を電光石火の早業で襲撃した。マリアは当初、追突事故に巻き込まれたと思ったという。

「私は後続車に乗っていました。私たちはカーブを曲がるところだったので、先行車が他の車と衝突事故を起こしたのだと思いました。しかし、全てはあっという間の出来事でした。突然、銃器や拳銃で武装した4人の男が(前方の)車から出てきました」(マリア・ガドゥ)

「乱暴だけど早業でした。僕は先行車を運転していました。前方を走っていた車が突然、急停車したので自分もとっさに急停車せざるを得ませんでした。追突すれすれで、うわ、ぶつかるところだ、と思った時には、もう前にいた車から銃を持った男たちが出てきていました」(ランカスター・ピント)

先行車からランカスターたちを下ろすと、すかさず男たちはマリアたちが乗る後続車も襲った。

「銃を持った男たちはこちらの車の方にも来て私たちにも車から降りるよう命じました。そのときドアのロックが開かず、とても怖い思いをしました」(マリア・ガドゥ)

マリアたちが乗っていた後続車は、サンパウロ在住のパーカッション奏者フェリッピ・ホゼーノの家族のものだった。

「姑から借りた車だったんです…。ポケットに入っていた財布と携帯電話以外は、着の身着のままで放り出されました」(フェリッピ・ホゼーノ)

イタリア人のチェロ奏者フェデリコ・プッピは、自分の楽器を奪われたことも悲しいけれど、この町にこのような暴力があることがもっと悲しいと語った。

「僕は自分の楽器に愛着を持っています。だから、楽器が盗まれるということは自分の音楽、自分のアートが盗まれたという気分です。でもこのような強盗はリオデジャネイロでも日常茶飯事として起こっています。まったく不条理極まりない暴力です」(フェデリコ・プッピ)

犯人グループが車で立ち去るまで、銃で脅されていたマリアたちは地面に伏せていなければならなかった。彼らが逃走した後、マリアたちは交通量の多い通りを、ラランジェイラス通りまで走って助けを呼びに行った。犯人グループは、彼女がマリア・ガドゥであることには気づいていない様子だったという。

リオ市の文民警察によると、犯人グループが乗っていた車は、10月11日にリオ市北部(ゾナノルチ)のチジュッカ地区で盗まれたものである可能性が高いという。警察は街の防犯カメラ映像の提出を指示した。また、目撃者の情報提供も求めている。

(文/柳田あや、写真/Reprodução/Globo News/TV Globo)
強盗にあったマリア・ガドゥ、「グローボニュース」より。TVグローボのニュース番組はIPCTV(グローボ・インターナショナル)で放送中。視聴のお問い合わせは、080-3510-0676 日本語対応ダイヤルまで)