経済危機にも負けず。ブラジルで健康食品市場が成長
2016年 01月 11日ブラジル経済は減速しているにもかかわらず、健康食品の市場は繁栄の時代を迎えているといっても過言がないほど、同国で成長し続けている。
国際的な市場調査会社ユーロモニターのデータによると、ブラジルでは2009~2014年の過去5年に、自然食品とオーガニック食品と機能性食品の分野は98%の成長を見せているという。現地メディア(「ジョルナウ・ド・ブラジル」、「ガゼッタ・ド・ポーヴォ」など)が伝えている。
同レポートによると、同じ期間の伝統的な食品の市場は68%の成長で、2014年の健康食品市場は350億USドルを記録したとのこと。ブラジルの健康食品の市場規模は世界第4位とのこと。
また、ブラジル人の28%が食品を消費する際に栄養価を最も気にする人は28%、防腐剤を使用しない自然食品を優先して買うという人が22%だったという。
ブラジル農業協会(SNA)は、この分野の成長の中ではコールドプレスジュースなどデトックスを売りにした新製品の増加が目立つという。そのほかにも、スナック、シリアルバー、フルーツミックスとナッツ類、さらには砂糖なしジャムまでが登場している。
企業経営コンサルタントを行うブループロフェッショナルマーケティング社のミレーナ・マイア取締役は、この分野は2013年末から2014年初頭にかけて急成長をとげ、いまなお減速していないという。
「消費者の栄養への関心はますます高まっている。経済危機の影響も大きくは受けていません。健康志向と生活の質をより高めたいという機運は経済に左右されず高まっています」(ミレーナ・マイア氏)
この機運はダイエットブームとは一線を画しているとミレーナ氏はいう。生きていく上での価値観の変化に根差した欲求に基づいている行動で、不可逆的なものだという。
分野別にみると、オーガニック製品は2014年に25%成長しており、7億5000万USドルの売り上げがあったという(オーガニクス・ブラジルによる)。2015年にニールセンが発表した調査結果では、オーガニック食品に興味を持っている人は33%だったという。
機能性食品も、これらを並べるスペースも小売店で増えているが、実際により高い成長率をみせており、2018年までに平均14.8%成長すると見込まれている。
フルーツジュースをベースにした機能性飲料「ルミナス・ライフ」を販売しているダブルヌートリシオナウ社のダニエウ・フェフェルバウン代表は、専門店などで市場自体はすでに動いていますが、スーパーマーケットにもその波は押し寄せていると語る。2015年には子ども向け商品「ルミナス・キッズ」シリーズも投入した。
「ブラジルではとくに子供のために健康食品が意識されています。また、健康の問題は私たちの日常生活の中で常に存在しているもので、企業も、この要望に応える必要性があると意識し始めています」(ダニエウ・フェフェルバウン代表)
(写真・文/麻生雅人、写真「サヴォール・ヴィーヴォ」、「ルミナス・ライフ」/Divulgação)
写真上はサンパウロ市内のスーパーマーケットで販売されている砂糖不使用の「ナトゥラウ・ワン」シリーズ。写真中はオーガニック野菜や果物のミックスジュース「サヴォール・ヴィーヴォ」シリーズ。写真下はDHAやオメガ3などの栄養素を売りにしたフルーツジュース「ルミナス・ライフ」シリーズ