リオ五輪男子サッカー日本、3戦目に勝利するも…
2016年 08月 14日8月10日(水)午後7時(日本時間11日(木)午前7時)から日本のグループリーグ第3戦がサルヴァドールのアレーナ・フォンチノーヴァで行われた。対戦相手はスウェーデンだ。
1分け1敗で迎えたグループリーグ最終戦であるこの試合、日本は自力での決勝トーナメント進出はできないが、少しでも可能性をつなげるためには勝利が求められた。
フォンチノーヴァは長年、サルヴァドールで圧倒的な人気を誇るチーム、バイーアのホームスタジアムとして使われてきたが、2007年11月、当時3部で戦っていたリーグ戦で2部昇格を決め歓喜に沸く観客が観客席で飛び跳ねたことが原因で観客席が落下、死者が出るという事故が発生し、長らく閉鎖されていた。2014年W杯での使用が決まり、旧スタジアムが取り壊わされ、同じ場所に新築されたスタジアムである(完成は2013年)。
今では地元のチームであるバイーアのホームスタジアムとして使われているが、バイーアはブラジル国内でも相当な人気チームで集客力もあるので、マナウスのアレーナ・アマゾニアとは違い、十分にやりくりできていると思う。
今大会のグループリーグは、同じ日に同じスタジアムで2試合ずつ行われており、この日のフォンチノーヴァは、現地時間で夜7時から日本戦、そして夜10時からブラジル戦が行われた。
残念ながら、この日本戦では観客の数は相当に少なかった。チケットを持っている人は両試合観ることができるが、多くのブラジル国民にとっては、日本戦は前座感覚で、あくまでも2試合目に行われるブラジル戦だけに興味を持っていたようだ。これは、ちょっと残念に思う。
さて、日本の戦いについてだが、2試合目のコロンビア戦は1試合目のナイジェリア戦に比べて劇的によくなったと思う。
2試合目では、フォーメーションも1トップから2トップに変え、GKに中村、中盤に矢島、井手口、FWに浅野といったように先発を初戦から4人変えており、見違えるようにいい戦いができていた。完全に勝ち試合だっただけに、引き分けという結果は非常に残念に思った。
そしてこの3戦目の先発は、左SBを前試合で痛恨のオウンゴールをしてしまった藤春に変え亀川を、そして中盤は、大島、南野が復帰した。
試合は終始日本ペースで進んだ。
対戦相手のスウェーデンはヨーロッパ予選を優勝して今大会に臨んでいる強豪で、2戦目までの勝ち点は日本と同じ1分け1敗で1という状況なので、もっとガツガツくるかと思ったが、意外にもおとなしく感じられた。
日本はよく攻めるが、ゴールが決まらない。1、2戦目でかなりの活躍をしていた中島の判断がいまひとつなシーンがいくつか見受けられた。もっと積極的にゴールを狙ってほしいと思ったりした。
また、せっかくのスピードスターの浅野がいるので、もっと浅野を使う動きがあってもいいと思った。前大会であるロンドン五輪では同じくスピードスターの永井を十二分に有効利用していたのとは対照的だ。
ゴールを奪えないまま後半に入ったが、後半12分に驚いたことに南野を下げたのだ。南野はよくボールを収めてくれるしドリブル突破も魅力的だ。もっとも重要な選手の一人といっても過言ではないだろう。
また、後半16分に今度は浅野を下げたのだ。これも残念に思った。アーセナルに移籍しもっとも期待されたといっても過言ではない浅野だったが、大きなインパクトを残すことなくピッチを後にしたのだった。
しかし、結果的に新たに入った選手は活躍してくれた。
まずは、矢島が大きな仕事をやってのけてくれた。
大島がペナルティーエリア内まで切り込み、最後はそのクロスを受けた矢島が見事に決めてくれたのだ。矢島は得点感覚にも優れている感じはするし、ポテンシャルを感じさせてくれる。
もう一人の途中交代で入った鈴木武蔵も積極的にゴールを狙い、よかったと思う。
その後も日本は攻め続けるが、ゴールは奪えなかった。しかしながら、ほとんど危ないシーンもなく、結局1-0で日本は勝つことができた。
しかし、同じグループのもう一つの試合で2位コロンビアが勝ったため、決勝トーナメント進出はならなかった。
特に、日本は2戦目、3戦目がよく、十分に決勝トーナメント進出の可能性があっただけに、この結果は非常に残念だと思った。選手たちにとっても、完全に消化不良だろう。
今回、オーバーエイジの使い方など日本国中で議論になっており、メンバー選出は本当に難しいと思った。
U23日本代表の戦いは終わったが、この経験を糧に、この中から将来の日本代表を背負う選手が一人でも2人でも多く出てきてほしいと思う。
(文/コウトク、写真/Portal da Copa)