カテゴリ : column リオデジャネイロ・オリンピック・パラリンピック特集
2016年 08月 17日 16:01
6日目は、男子100kg級の羽賀龍之介が銅メダル、そして女子78kg級の梅木真美は残念ながら初戦で敗退した。柔道というあやうい競技では、初戦敗退も十分に考えられるので、本人にとっては非常に残酷な結果だが、十分にありえる結果だと思った。古賀稔彦が監督を務める環太平洋大学所属の21歳。まだ若いので、これからも頑張ってほしいと思う。
そして、7日目の最終日、この日の戦いがもっとも印象深いといっても過言ではなかった。
男子100kg超級の原沢久喜が銀メダル、女子78kg超級の山部香苗が銅メダルを獲得したのだが、男子100kg超級には、この階級で世界選手権7連覇中で、ロンドン五輪の金メダリストである絶対的な王者、テディ・リネールが君臨していた。
原沢にとっては満を持して、絶対王者のリネールとの決勝戦に臨むことになった。原沢にとって失うものはないはずだ。どんな戦いが繰り広げられるのか楽しみだった。
この決勝戦は、ある意味、予想通りの展開だったが、非常に残念なものだった。
まず、開始早々に、原沢に警告が2度も立て続けに入ってしまった。これで、何もしなくても勝つことができるリネールはまったく攻めない姿勢を貫く。必死に組もうとする原沢を押さえ、柔道をしようとしないのだ。
こんなリネールに対し、不思議なことに審判は一切警告を出さない。会場からは、リネールに対して大ブーイングも起こっていた。以前の筆者であればこの試合を見て、怒りを覚えたと思う。今の筆者は激怒はしなかったが、残念だな、と思った。
筆者が柔道という競技の理不尽さを感じたのは、2008年の北京五輪だった。
このときの谷亮子の試合を見て、柔道の本来の戦いに入る前に、まずは、襟の取り合いから始めなければならなく、また、すべてにおいてポイントで管理されてしまうことに、非常に違和感を覚えたものだ。それまで筆者が知っていた柔道は、山下康裕や古賀稔彦といった一本で勝負するものだったから、技が決まらず、相手の警告だけで逃げ回る柔道を見て、怒りに近いものを感じさせられたのだった。
当時は、日本の目指す武道としての柔道が、世界の主流となっている競技JUDOとまったく異なるベクトル軸で動いている気がして、日本の柔道界も戸惑っている感じがした。
そんな背景があったため、今回の原沢とリネールの決勝戦について驚きはしなかったが、当時感じた思いがよみがえってきたのは事実だ(次ページへつづく)。
(文/コウトク、写真/Roberto Castro/Brasil2016)
8月11日、3回戦でブラジルのハファエウ・ブザカリンと対戦、勝ち進んだ羽賀龍之介
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