暗号だらけ!? ネイマールの歌の歌詞を解読すると…

2016年 09月 23日

ネイマール 歌 デビュー

9月14日にネイマールが自身のフェイスブックで公開した歌が話題になりました。ネイマールの母国語はポルトガル語ですが、歌詞はスペイン語で綴られており、いわゆる「ポルトニョール(ポルトガル語訛りのあるスペイン語)」で歌われています。

話題のネイマールの歌ですが、ネイマールファンしか知らない単語がいくつかあるので、スペイン語を知っているだけでは、何を言っているのか理解できません。この記事では彼の歌の歌詞を解説します。

ピアノの前に座ったサッカー選手のネイマールは、ピアノの弾き語りを始めます。

「今度ファーストアルバムを出します。曲の一部を紹介するから、みんなにも聴いてほしい。曲のタイトルは『ぼくに必要なもの(Yo necesito)』です」

「ぼくに必要なもの(Yo necesito)」(スペイン語)

Para jugar la pelota(サッカーをするのに)
Yo necesito(ぼくに必要なもの)
Ousadia e alegria(大胆さと喜び)
Ousadia e alegria(大胆さと喜び)
Para jugar la pelota(サッカーをするのに)
Yo necesito(ぼくに必要なもの)
Estar con los parças(相棒と一緒)
Estar con los parças(相棒と一緒)
É tóis(ぼくらの)
É tóis(ぼくらの)
É tóis(ぼくらの)
É tóis(ぼくらの)

Ousadia e alegria(オウサジーア・イ・アレグリア/大胆さと喜び)は、ネイマールのサッカー選手としての座右の銘です。

ネイマールが説明するところによると、オウサジーア(Ousadia)は、人々が予想もしない、人とは違うプレーをする“大胆さ”、アレグリア(喜び)は生きることの喜び、楽しんでサッカーをプレーする考え方を表現したものです。

tóis(トイス)という言葉は辞書で調べても見つかりません。なぜならこれは、ネイマールがブラジルサッカークラブのサントスに所属していた頃から友人との間で使用している造語だからです。ぼくらの(É nois)という単語の頭文字Nを、ネイマールが遊び心でTに変えたことに由来しています。なぜTなのかは不明です。ネイマールは試合中にゴールを決めると、両腕でTの文字を作って、「私たちの(ゴール)」という表現をすることがあります。

トゥース ネイマール ブラジル代表

Parça(パルサ)は、Parceiro(パルセイロ)=相棒のスラングです。ネイマールはパルサとの関係も何かと有名です。ここでは有名なネイマールのパルサを3人紹介します。

一人目は、ジウ・セボーラ(Gil Cebola)。

ジウ・セボーラ

ネイマールのパルサとして最も有名なのがジウ・セボーラ(Gil Cebola)。ネイマールとは教会で知り合い親友になりました。昔は、サッカー選手としてプレーしていましたが、芽が出なかったため、現在では複数のサッカー選手の管理を行う若手事業家として活躍しています。

ワグナー・ヒベイロと共同でネイマールのキャリアの管理も行っています。ツイッター上でのネイマールのやりとりがきっかけで、ネイマールファンからネイマールへの架け橋としての人気が一時的に高まり、知名度が上がりました。今では、ネイマールと同じバルセロナに拠点を構えています。ネイマールの歌っている動画で右に座っているのが、ジウ・セボーラです。

二人目はコズミ(Cosme)。

コズミ ネイマール

ネイマールの髪型は何かと話題になることが多いですが、彼の髪型をデザインしている美容師のコズミ(Cosme)もネイマールのパルサの一人です。

最後はチアギーニョ(Thiaguinho)。

パゴージ歌手のチアギーニョ。ネイマールが、チアギーニョのミュージックビデオに出演している他、「オウサジーア・イ・アレグリア(大胆さと喜び)」というネイマールの座右の銘を冠した曲も作っています。

さて、今回の「ぼくに必要なもの(Yo necesito)」。歌い終わった後、ネイマールはSNSに次のように書き込みました。

「みんな、どうだった?気にいったかい?」

「新しい挑戦にとても満足している。ぼくの歌手としての第一歩、「ぼくに必要なもの(Yo necesito)」、気に入ってくれたかな?」

この曲はチョコレートの宣伝に使用されるとネイマールは後で追記しています。ビデオを観れば明らかなように、明らかにおふざけでやっているとしか思えません。歌手デビューというのも、彼なりのジョークなのではないかと思います。

ネイマールのファンは、次のようなコメントを書き込んでいます。

「きみが歌手として生きていこうとしていたなら、今頃餓死していただろうね」

「素晴らしい。ネイマールはいつも記録を更新している。サッカーボールでは最高の記録、歌唱力では最悪の記録を更新だ」

(文/唐木真吾、写真上/Lucas Figueiredo/CBF、写真下/Rafael Ribeiro/CBF)
写真上は2016年9月5日、マナウス。ワールドカップロシア大会南米予選のため練習に出席したネイマール(左)
写真下は2014年6月8日、ミナスジェライス州の合宿所。セレソンブラジレイラは、怪我でワールドカップブラジル大会の戦線を離脱したネイマールへの応援メッセージで「トイス」ポーズをした

著者紹介

唐木真吾 Shingo Karaki

唐木真吾 Shingo Karaki
1982年長野県生まれ。東京在住。2005年に早稲田大学商学部を卒業後、監査法人に就職。2012年に食品会社に転職し、ブラジルに5年8カ月間駐在。2018年2月に日本へ帰国。ブログ「ブラジル余話(http://tabatashingo.com/top/)」では、日本人の少ないブラジル北東部のさらに内陸部(ペルナンブーコ州ペトロリーナ)から見たブラジルを紹介している。
コラムの記事一覧へ