ブラジルで、ミス受刑者がファッションショーでキャットウォーク

2016年 10月 9日

ミス刑務所ファッションショー

ブラジル、ミナスジェライス州で毎年開催されている受刑者によるミス・コンテスト、ミス刑務所ミナスジェライス州。今年(2016年)、ミス刑務所に選ばれたマルセラ・モレイラ・カニャーニ受刑者(26)が10月6日(木)、ファッションショーでキャットウォークを披露した。

マルセラ・モレイラ・カニャーニ受刑者(26)が出演したのはミナスジェライス州ベロオリゾンチにあるコンベンションセンター、エキスポミナスで開催されたファッションショー「第19回ミナストレンド・プレヴュー」。現地メディア「アジェンシア・ミナスジェライス」が伝えている。

マルセラ受刑者はイベントに参加することで、自由だったころの思い出をよみがえらせた。

「招待されて大変、光栄です。皆さん、やさしく受け入れてくれました。少し緊張しましたがそこにいられること自体、光栄でした」(マルセラ・モレイラ・カニャーニ受刑者)

マルセラ受刑者をショウに迎えたのはハケウ・ギマランイスがデザインを手掛けるニットやクロシェ編み製品を得意とするブランド、ドイゼーリス。マルセラ受刑者はヒップホップ・アーティスト、クリオーロの曲に合わせて、この日、同ブランドが発表した18アイテムのうちのひとつである黒いニットでキャットウォークに臨んだ。

ミス刑務所ファッションショー

ドイゼーリスのデザイナー、ハケウ・ギマランイスは、マルセラ受刑者はこのファッションショーを華やかにしたと語った。

「刑務所管理監督局(SEAP)から打診があり、私は彼女を受け入れることにしました。そして彼女によって、すでに皆さんにはおなじみとなっているドイゼーリスというブランドのショウは輝くことができました」(ハケウ・ギマランイス)

ハケウ・ギマランイスは自身のコレクションに関し、”人間的な経済活動”を念頭に置いて、衣服の生産行程の全プロセスにおいて敬愛の気持ちをもって取り組み、生産に関する価値観を重視しているという。

同州の刑務所管理監督局(SEAP)は、今回の活動は受刑者の人権を守ることと、社会復帰に向けてのリハビリテーションの一環であることを強調した。

ミス刑務所コンテスト自体もまた、美を競い合うことよりも、自由を制限されている環境にある女性が自尊心を持って生きること、人間らしい受刑の在り方であること、社会復帰を促すことを主眼に置いて開催されているという。

(文/麻生雅人、写真/Omar Freire/Imprensa MG)